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スペシャル対談 奥山清行 ×
アンドリュー・デブリト
SPECIAL TALK SESSION

SPECIAL TALK SESSION

世界中の一流を知るプロフェッショナルによる対談。

世界中のフォーシーズンズホテルを経験し、
2020年に開業した「フォーシーズンズホテル東京大手町」の総支配人として指揮を執るアンドリュー・デブリト氏と、
フェラーリをデザインした唯一の日本人として世界的に活躍する工業デザイナー 奥山清行氏によるスペシャルトークセッション。
世界の一流のホスピタリティを知るお二人ならではのグローバルな視点で、
これからのホテル業界のビジョンや求められる人材についてお伺いしました。

ホスピタリティの仕事は、
「人」としての
「プロフェッショナル」。

[ 工業デザイナー/KEN OKUYAMA DESIGN代表 ]
奥山清行
KIYOYUKI KEN OKUYAMA

アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン(アメリカ)卒業。ゼネラルモーターズ社(アメリカ)チーフデザイナー、ポルシェ社(ドイツ)シニアデザイナー、ピニンファリーナ社(イタリア)デザインディレクターなどを歴任。エンツォ・フェラーリ、マセラティ・クアトロポルテなどのカーデザインを担当した。2007年にKEN OKUYAMA DESIGN設立、代表に就任。山形・東京・ロサンゼルスを拠点に自動車や電車などの輸送機器や都市デザイン、自身のブランドでインテリア製品や眼鏡の開発から販売までを行うなど、幅広い分野で活躍中。

[ リージョナルバイスプレジデント兼総支配人 ]
アンドリュー・デブリト
SHINJI ISHIBASHI

1992年リージェントホテルクアラルンプール(旧フォーシーズンズホテル)にウェイターとして入社。フォーシーズンズホテル北京、フォーシーズンズホテルジャカルタ、フォーシーズンズリゾートアビアラ(現フォーシーズンズレジデンスクラブサンティエゴ、アビアラ)、フォーシーズンズホテル上海などを歴任。2019年フォーシーズンズホテル東京大手町総支配人に就任。

ーここフォーシーズンズホテル東京大手町に続き、日本での開業を予定されているそうですが、今後のビジョンについて伺えますか?

デブリト私たちフォーシーズンズホテルにとって、日本はとても大切な市場です。現在は丸の内と京都、そして約1年前にオープンした大手町と、日本では3拠点となりました。今後も、日本での拡大を予定しており、2024年には大阪府、2025年には沖縄県恩納村での開業を予定していますし、横浜でも開業も検討しており、今後3年から5年の間に日本でのフォーシーズンズホテルの数はおよそ倍になると思われます。

奥山私は海外に行くことも多く、その際はよくフォーシーズンズホテルに宿泊しています。なぜならホテルの理念が浸透しており他のホテルとは全く異なっているところに魅力を感じるからです。まず一つは、マネージメントやサービスといった自分たちがすべきビジネスの基軸に注力しているという点に、関心と尊敬の気持ちを持っています。それは、駐車する時にお出迎えをしてくれる人から既に違いを感じます。しっかりと統一された接客があると同時に個性も光っています。これはとても興味深いことで、私は人と話すことが好きでスタッフの方と会話を楽しむことがあるのですが、それをできるホテルは日本では意外と無く、まるでロボットと話をしている気分になることもありますが、こちらのホテルではスタッフの方の個性を感じながら会話を楽しめるから好きです。

デブリトありがとうございます。ブランドをよく知っていらっしゃいますね、まさにその通りで、スタッフそれぞれの個性が光ることを大切にするという私たちのブランドのDNAに関係しています。各々がホテルのブランドを守りつつ、個々の言葉で接客し個性を発揮することを認めており、同時に求められた仕事をできる限り質高く実行する考え方も備えています。加えて日本には「おもてなし」という独特の文化があります。とても深く染みついた考え方で、私たちはこの「おもてなし」の考え方をどのように取り入れ、提供することができるのかということを考えています。また、日本の「一期一会」という言葉は、とても素晴らしいと思います。「一度の出会いを大切にする」という考え方は、フォーシーズンズホテルが大切にしている「他の人に自分がして欲しいことをする」というゴールデンルールに共通します。

奥山私がお話したことは正しかったのですね、嬉しいです。とても共感できることが多いので少しお話しさせてください。私は、工業デザイナー、カーデザイナーという立場でやっているのですが、答えはいつも現場にあると思っています。ですから、私はいつも製品を使う人、製品を作る人、製品を売る人に必ず会いに行きます。紙面上のマーケティングデーターだけでは分からない発見がありますし、私がそうすることが好きなのです。ヤンマーホールディングス株式会社でトラクターをデザインした時もディーラーに会いに行きました。それは、お客様が必要としていることを正確に把握しているのは、店舗にいる彼らだからです。実際に話を聞くと沢山の課題が見つかったのでオフィスに戻ってすぐにデザインを変更しました。結果的にトラクターは完売し、お客様には大変喜んでいただきました。この瞬間が、私は大好きです。それともう一つ、それぞれの土地の文化や地元の特性を感じることができるのもフォーシーズンズホテルの魅力です。大手町と丸の内のフォーシーズンズホテルでも違いを感じることができます。それはデザイナーとしても、とても魅力的です。

デブリトお客様は世界中を旅する方が多いので、フォーシーズンズホテルを通じてその土地の雰囲気や文化を感じていただきたいと考えています。そのために、スタッフの教育にも力を入れています。なぜなら、大手町のホテルで働いているスタッフが、バンコクやシンガポール、カリフォルニアやニューヨーク、ハワイで働くこともあるかもしれませんから。私たちは、未来のリーダーを育てていますし、それぞれが持つ文化を理解・尊重することで、世界で通用するホスピタリティスキルが確実なものとなります。

ーデブリトさんは、実際に現場に出て自ら荷物を運ばれるなど、お客様をおもてなしされていると伺いしました。

デブリト経験を積み役職を得た人が侵す間違いの一つが、オフィスマネージャーになってしまうことです。常にオフィスにいて会議ばかりに出席していると、現場で何が起きているのか分からなくなってしまいます。ホスピタリティというのは、人との繋がりです。フロアに出てチームメンバーと関わり、ときにはチームを助け、可能な限りお客様とも触れ合う。このような全体の繋がりがお客様との関係性を築き上げていく。どれほどテクノロジーが発展しようとも「人」というのは大切な鍵です。ですから、私は人との繋がりに情熱を捧げ、今でも時間がある限り現場に出るようにしています。

ー本校はEHLでの留学を予定しています。やはり海外で学ぶことは大切ですか?

デブリトもちろんです。私は幸運なことに、色々な国のフォーシーズンズホテルにて勤務し、得た知識や経験が今の私を作っています。もし、1ケ国だけに留まっていたら得られなかったでしょうし、世界に出たことで、どのように物事が変化するのか、また他国籍の人や違う言語を話す人とどうやって交流をするのか、違う考え方を持つ人をどうやって理解するのかということを学ぶことができましたし、ホスピタリティ業界でグローバルに活躍できる人材になれた理由だと思っています。ですから留学を含め、誰もができることではない経験や冒険は本当に大切です。

ー奥山さんは、南陽プロジェクトをはじめ、ホスピタリティビジネスに取り組まれていると伺いました。

奥山僕の出身地である山形県南陽市という田舎に、今まで東北には無かった高品質な体験をしてもらう「四季南陽」というホテルを開業する予定です。設計は日本を代表する建築家である隈研吾さん、食のプロデュースは山形県出身であり地産地消イタリアンのパイオニアである奥田政行シェフにお願いして、僕は全体的なプロデュースを。12ヘクタールの土地に、東北で一番古いワイナリーを経営する酒井ワイナリーさんのブドウ農園があったり、ものすごくきれいな小川も流れていたり、夜の星空もすごくきれいで、豊かな土地の魅力を思いきり楽しんでいただけると思います。 ホスピタリティにおいてはまだ道の途中なのですが、一つ言えることはデザイナーとしての新しさを狙う前に、まずここでないと得られないサービスを提供したいと思っています。

ー最後に、憧れのホテル業界を目指す学生に一言メッセージをお願いします。

デブリトホスピタリティの仕事は、若い世代の人にとって、とても素晴らしいキャリアだと思っています。それは言い換えれば「人」としての「プロフェッショナル」だからです。どんな仕事でも、良い時もあれば悪い時もあります。それも自分の挑戦です。特に人に喜びを与えることが好きな人であれば、同時に自身も成長できると思います。

奥山滋慶COMグループは4年制教育に力を入れています。なぜなら実学教育、人間教育、国際教育という理念があり、この3つの理念を実現するには4年間の教育が必要だからです。そして、現状として非常に上手くいっています。また、この4年間は学生の人生においてとても重要で、自分が何者なのか、個人として何ができるのか自身を見つめる機会にもなります。あなたは世界でたった一人です。だから、あなたが提供できるホスピタリティは、あなたしかできない。それを常に忘れないでください。