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スペシャルインタビュー 一般社団法人ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構 ONSEN & GASTRONOMY TOURISM ASSOCIATION

SPECIAL INTERVIEW

日本の温泉地を盛り上げ、世界の温泉地とつながる。
新しいスタイルのツーリズム。

その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食文化に触れることを目的とし、
欧米を中心に世界各国で注目を集めるガストロノミーツーリズム。
そこに「温泉」をプラスしたONSEN・ガストロノミーツーリズムという新しいスタイルのツーリズムを推進、
温泉地の魅力を日本のみならず世界へ広く発信している。

[ 事務局長 ]
本橋 春彦
HARUHIKO MOTOHASHI

早稲田大学 ア式蹴球部卒業。全日本空輸株式会社入社。全日空スポーツ株式会社、成田空港支店 客室部 主席部員、営業推進本部 大阪支店 国際販売部部長など数々の要職を歴任。平成30年よりANA総合研究所に出向、現在は、ONSENガストロノミーツーリズム事務局長を務める。

地域の食文化は「漬物」にあり。
ONSEN・ガストロノミーツーリズムの魅力とは?

自然の中を歩きながらグルメや温泉を楽しむONSEN・ガストロノミーツーリズム。2016年から開始されたにも関わらず、現在は600名もの観光客が参加する大人気のイベントに。
地域の活性化に貢献しながら観光客を魅了するユニークな企画づくりの秘訣や、将来的には世界中の温泉地との交流を目指すグローバルなビジョンまで幅広くお話を伺いました。

ーONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構の概要や特徴についてお伺いできますか?

まず、ガストロノミーツーリズムとは、地域に根差した食、その背景にある地域の自然や歴史などの魅力に触れることそのものを目的としたツーリズムのことで、欧米を中心に世界各国で注目を集めています。それに日本が誇る温泉を加えたものがONSEN・ガストロノミーツーリズムになります。日本で発足したきっかけは、実は御校の小川校長なんですよ。ANA上席執行役員名古屋支店長の時代、フランスのアルザス地方でガストロノミーツーリズムを実際に体験されて大変感動し、日本でもこのツーリズムを推進することになりました。フランスは世界一の観光立国なのですが、ほとんどの観光客がパリに集中しており地方は厳しい状況となっていました。そんな中、集客に苦戦していたアルザス地方でガストロノミーツーリズムを開催すると、人口の10倍程の観光客が来るようになり地域の活性化に成功したそうです。日本ではこれからますますインバウンド需要も高まりますし、温泉地をはじめとした地域の持続可能な発展へとつながる架け橋となれば良いと思っています。これまで90回ほどイベントを実施しましたが、トータルで2万人の方に参加いただき、コロナ禍以前は1回のイベントに600名集まることもあり大変好評をいただいています。お客様は20代から50代の女性が7割。通常のウォーキングツーリズムですと60代の方が多いのですが、このイベントには比較的若い層の方が参加されている傾向にあります。2020年2月には、台湾で海外初のONSEN・ガストロノミーツーリズムを開催し、こちらも好評でしたので、ゆくゆくは世界の温泉地との交流を目指しています。

ー印象に残っているイベントについて伺えますか?

青森県弘前市の岩木山へ集団登拝するというイベントは印象的でした。黄金色の御幣や色鮮やかなのぼりを持って、白装束に身を包み、登山囃子が響く中「サイギ、サイギ」の掛け声を響かせ、岩木山神社までの10kmの距離を歩いて行くんです。その道中で岩木山麓・嶽高原で栽培されている嶽きみというブランドのトウモロコシを茹でたものや、嶽きみクリームのロールケーキ、ホタテの串焼きなど地元の方が普段食べているものを出してくださったのですが、これがまた美味しくて。参加者の皆さんもワーッと盛り上がっていらっしゃいましたね。それと秋田の大館市では、2009年に廃止されたローカル線の「小坂鉄道」の線路を歩く廃線レールウォーキングも面白かったですね。石ころが転がっていたり、少し高い場所にある鉄道橋を渡ったりなどすごく歩きにくいのですが、それもまたスリルがあって楽しい。せっかくの良い景色なのに下ばかり見てしまって(笑)。じっくり街を歩きながら地域の文化や伝統に触れられる体験は貴重な思い出になりますし、 ONSEN・ガストロノミーツーリズムならではの醍醐味だと思います。

ーこのようなユニークな企画はどのように生まれるのですか?

地元の自治体さんや観光協会さんが中心となり、生産者の方やレストラン、旅館をされている方など、色んな業種の方が集まって企画しています。我々はアドバイス程度で、あくまでも地元の方が作るイベントとなっており参加費も地元に入りますし、全て地元で完結するという形になっています。食事に関してもご提案いただくのですが、その際には地元の方が普段食べているものを出していただくようにしています。その中でも漬物は土地の文化がよく出ますので、必ずご用意いただくようにお願いしています。印象に残っているのは山形県天童市のさくらんぼの漬物。ちょっと傷があるものは市場に出せないため、無駄をなくすために漬物にする生活の知恵が昔から受け継がれているそうです。それと北海道夕張市ではメロンの皮の漬物がありました。美味しかったですよ。東京では見たことも食べたことのないものが食べられる、これも旅行の楽しみですよね。この企画作りに参加された地元の方からは、普段接点がなかった業種の方との交流が生まれ団結力が強くなったと、嬉しい声もいただいています。

ーユニークな発想力は、このお仕事をされる上でやはり重要となりますか?

そうですね、発想力は重要です。学生の皆さんは平均的な人間ではなく何か1つ尖ったものを持っている人になっていただければと思います。つまり多面的に物事を見ることができる人。例えば、皆一緒に音楽に合わせて同じ動きをするラジオ体操で、1人だけ何もしないで「何やってるんだ!」と怒られても平気な人。きっとその人なりの考えがあってのことでしょうし、ちゃんと挨拶ができていれば普通でいる必要は全くないですから。そういう少し変わっている人はウェルカムですから尖ったことを突き詰めてもらいたいですね。それと、何かちょっとしたことに気づける視点を持つこと。お客様をお連れして言われたことだけをするのではなく、自分なりの視点で工夫を凝らしてみる。これが中々できないんですよ。例を出しますと、神宮球場で自由席のチケットを販売する売り子さんの話なのですが、歩合制でチケットをより多く売ると自分の売上になるシステムで、通常は10枚つづりのチケットを売るのですが、ある売り子さんは13枚つづりにして売ったんです。すると3人分多く売れますよね、それで座席は満杯になっちゃった。こうしたちょっとした目の付け所を養うと良いと思います。

ー最後に、憧れの観光業界を目指す学生に一言メッセージをお願いします。

「観光」とは「光」を「観る」と書き、元々国を豊かにするために威光を放ち、経験値をどんどん蓄えるという意味が込められています。学生の皆さんは経験を少しでも多く積んで、それが国の発展に繋がるという大きな志を持っていただきたいなと思います。