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スペシャル対談 都並敏史 × 石橋慎二 SPECIAL TALK SESSION

SPECIAL TALK SESSION

新時代のスポーツビジネスヘ向けて。

日本のサッカーとスポーツ文化をさらに盛りあげるために、大切なことは何なのか?
育成スクールの指導者として、そしてクラブ監督・解説者として、
それぞれサッカー界の発展に長く尽力される石橋慎二氏、都並敏史氏にお話を伺いました。

サッカー愛を持って、
熱いエンタメにしてほしい

[ ブリオベッカ浦安 監督 育成テクニカルディレクター ]
都並敏史
SATOSHI TSUNAMI

1980年読売クラブに入団。19歳で日本代表初選出。その後、名門「ヴェルディ川崎」の名ディフェンダーとして、Jリーグの創成期から数々の輝かしい成績を残し、1998年に移籍先のベルマーレ平塚(現:湘南ベルマーレ)にて現役引退。引退後はヴェルディ川崎ユース監督をはじめ、2005年にはベガルタ仙台監督、2006年セレッソ大阪監督、2008年横浜FC監督などを歴任。現在はブリオベッカ浦安監督兼育成テクニカルディレクターを務める。

[ 株式会社クーバー・コーチング・ジャパン 代表取締役 ]
石橋慎二
SHINJI ISHIBASHI

長崎県島原市出身。高校時代はインターハイ・選手権・国体等 3年連続出場。法政大学に進学し、サッカー部にてインカレ・関東リーグ1部・総理大臣杯等にて優勝。サンノゼ カリフォルニア州立大学留学。1984年から横浜フリューゲルス(’99年横浜F・マリノスと合併)の前身に当たる全日空横浜サッカークラブに入団。副主将、主将を務めた。現在はクーバー・コーチング・ジャパン代表取締役を務める。

地域の人とのつながりが、サッカークラブをつくる

ーJリーグ創設以降の日本サッカー界の発展に、お2人はどんな感慨をお持ちですか?

都並日本サッカー不遇の時代を知るわれわれにとって、1993年にJリーグができてサッカーのステイタスが上がり、世の中へ認知が一気に広がったことは間違いなく幸せな体験でしたね。

石橋本当はもっと早く欧州や南米に追いつくかとも思っていたのですが、サッカーは文化にしていかないとなかなか根づかないですし、時間がかかって当然ですよね。ただサッカー人口は劇的に増えて、2011年にはなでしこジャパンが世界一になったりと、確実にいい方向へ向かっていると思います。

一『地域密着Jを理念に掲げる」リーグにあって、各クラブには地域活性化に貢献する姿勢も求められますよね?

都並どのクラブも色々な努力をしていて、地域におけるサッカーの温度はどんどん上がっていますよ!僕が以前監督をしていたベガルタ仙台でも、サッカーに対する本当に深い愛情と理解を持つファンがクラブを盛りあげてくれた。そのぶん、成績が伴わない時は風当たりも強くなりますけどね(笑)。

石橋地域との交流という意味では、クラブにもう一歩踏み込んだ動きがあってもいいと思います。たとえば、プロ野球の横浜DeNAでは‘‘湘南乃風”とコラボして、野球と接点のなかった新規ファンを増やし収益を上げることに成功しました。サッカークラブも接点のない人を呼び込むために、関取11人のチームとエキシピションマッチをやるとか(笑)、バスケチームやミュージシャンとタイアップするとか、お客さんを喜ばせる色々な仕掛けを考えてほしいですね。

都並川崎フロンターレは、芸人などともコラボして良くやってるよね!他のクラブにもそうした活動はもちろん期待したいですが、ただし、コラボする相手はサッカー愛のある人に限ってほしい。そこを間違えると、必ず失敗すると思うので。最近では日向坂46の影山優佳さんとか、すごくサッカー愛に溢れていて素晴らしいじゃないですか。

ーブリオベッカ浦安では、地域に対してどのような活動を行われていますか?

都並サポーターはまさに宝で、地域の人とのつながりこそがクラブをつくります。ブリオベッカでもキャプテンが自ら街へ営業に出てポスターを貼ったり、お祭に店を出して選手全員が参加したりと、地域との絆を深める活動を積極的に行っていますよ。僕自身、休日にはヘルメットをかぶって現場に入り、地元企業を紹介する動画に出演したりね(笑)。

まだまだ大きい、欧州や南米との差

ーJリーグ創設から時間が経ち、日本にも地域に根ざしたサッカー文化が着実に育まれていると思いますが、欧州や南米との差はまだ大きいですか?

都並大きいですね。スタジアムの立地やクラブの運営など、すべてにおいてまだまだ追いついていないと思います。

石橋人びととサッカーの接点の密度が違いますよね。日本でもDAZNのおかげで多くの試合が観られるようになりましたが、欧州ではほぼ毎日どこかのチームが試合をしていて観ることができます。スペインなどにはグラウンドのすぐそばにバルがあって、サンドイッチを食べながら気軽に観戦が楽しめたり。

一欧州では、スタジアムが試合のない日でも人びとが集まる地域コミュニティの役割を果たしていると聞きます。

石橋日本のネックは、スタジアムが遠いことなんですよ。欧州では地下鉄の駅の上など便利な場所にスタジアムがあって、無料で遊べる施設もある。バルから選手のトレーニングを見ることもできる。そんな環境が、サッカーを子供たちにとって身近なものにしているんです。

都並南米でもブラジルのコリンチャンスなどは、サッカーを軸にしながらバスケやテニスなど他競技も取り込んで総合スポーツクラブとすることで、人びととサッカーの接点を増やしている。日本でもそうするか、あるいは独自の発展の仕方を模索するのか。考えどころですね

ーファンに新しい観戦スタイルを提供するテクノロジーには、興味をお持ちですか?

石橋これからのスポーツ観戦にVRの技術は欠かせないと思っています。たとえば先ほど話した関取チームとの試合が実現した時に、久保建英選手はフリーキックで関取10人の壁をどう破るのか(笑)?あるいはキーパーは、ロベルト・カルロスの強烈なフリーキックをどう受け止めるのか?それを客席からは分からない視点で体感してもらうような、ファンをリアルなゲームに巻き込む観戦スタイルが実現するといいですね。
都並自分は監督という現場の人間なのでテクノロジーのことは分からないですが、サッカーをエンタメとして進化させる人の存在はとても重要だと感じています。

スポーツで人を感動させる仕事には、素晴らしい価値がある

一最後に、これからスポーツマネジメントのプロを目指す若者ヘメッセージをお願いします。

都並僕はサッカーを学ぶために自己費用でアルゼンチンヘ行きました。皆さんにもグローバルな視点でサッカー先進国の動向を見てほしい。できればぜひ、世界へ出て見識を深めてほしいですね。

石橋好きなことを仕事にできる人生は幸せです。中でもサッカーだけに限らずスポーツを通じて人を感動させる仕事には、素晴らしい価値があると思います。選手として挫折を経験した僕は長くサッカーから離れた時期があったのですが、皆さんにはそんな回り道を経験してほしくない。どうか今から、人を感動させる準備を始めてください!