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スペシャルインタビュー 山本ひとみ × 大村茉央 × 小川正人 SPECIAL INTERVIEW

SPECIAL INTERVIEW

安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ日本の翼

国際線就航当初から客室乗務員としてゼロからサービスをつくり上げてきたお一人でもあり、華々しいキャリアを積まれてきた山本取締役 副社長と
現役キャビンアテンダント大村さん、THL学校長であり元ANA総合研究所取締役会長によるスペシャルインタビュー。

about全日本空輸株式会社/株式会社ANA総合研究所

8年連続「5スター」を獲得する航空会社グループ。

英国スカイトラックス社から顧客満足度で最高評価となる「5スター」に8年連続で認定された日本最大手の航空会社ANA。そのグループ企業として、航空運送事業を通じて培ったナレッジを活用し、地域活性化や地域振興、人材活用やアイデア発掘、新たな発想での空港活用ビジネスモデルの研究等を大学や自治体をはじめ、各種団体とも連携しながら推進している。

何事もない一日などない。
イレギュラーが起きた際の結束力は、一生の宝物。

[ 株式会社ANA総合研究所取締役副社長 ]
山本 ひとみ
HITOMI YAMAMOTO

1981年全日本空輸株式会社へ入社。客室乗務員としてフライトに従事し、1998年に管理職に昇進。その後、客室本部客室乗務部長などを経て、2015年に執行役員 客室センター長に就任。ANAブランド客室部門統括、グループ女性活躍推進総括、東京オリンピック・パラリンピック推進本部副本部長を経て、2019年4月より取締役常務執行役員に就任。2020年はグループD&I推進総括、オペレーション部門副統括、ANABlue Base・D&I推進・政府専用機オペレーションを担当。
2021年4月より、株式会社ANA総合研究所 取締役副社長に就任。現在に至る。

[ 全日本空輸株式会社 広報部
スタッフアドバイザー ][ 客室乗務員 ]
大村茉央
MAO OMURA

2015年全日本空輸株式会社へ入社。客室乗務員としてフライトに従事し、国内線チーフパーサー、国際線エコノミークラス・ビジネスクラスパーサーを担当。国内路線、欧米・アジア各国の路線に乗務し、2022年4月より ANA広報部に異動。テレビや雑誌の広報対応、ANA公式SNSの運用等を行うSNSメディアプランニングチームに所属。現在もフライトを続け、経験を活かして広報業務を行う。

[ 元株式会社ANA総合研究所取締役会長 ]
[ 学校長 ]
小川 正人
MASATO OGAWA

一般社団法人ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構理事長、元株式会社ANA総合研究所取締役会長。1978年慶應義塾大学経済学部卒業。同年全日本空輸株式会社 入社。2009年 執行役員営業本部副本部長、2011年 上席執行役員名古屋支店長、2015年4月 株式会社ANA総合研究所取締役会長など数々の要職を歴任。現在も、地域活性化に邁進している。

チームワークとあたたかい心持ちが、ANAの魅力。

ーキャビンアテンダントのレジェンドである山本さんが思う、御社の魅力や働き甲斐について伺えますか?

山本地上から上空、到着地へと一連した流れの中で、関連するグループ各社がお互いの仕事の内容の前・後工程も理解しながら、お客様のニーズやご要望に応え、最高の品質を作り上げていくために何ができるか、何をもって次の部署に引き継いでいくべきかをそれぞれが考え行動するチームワークと、あたたかい心持ちがANAの魅力だと思います。

小川1便が整備不良や悪天候で遅れることがありますが、そういう時こそチームワークが要求されますからね。

山本安全運航をベースに飛んで行くのですが、天候不良など不測の事態が起きて就航していない空港に降りることもあります。特に海外では言葉の問題や入国の規程、基準が違っていたり、大変なことも多いんです。そこには地上で支援するANAの社員はいませんから、私たちが荷物のハンドリングのケアやホテル宿泊のサポートまでを行うこともあります。そこは力の見せ所と言いますか、イレギュラーが起きた際の結束力は一生の宝物になるくらい非常に高くなります。

小川色んなことがありますよね。一日無事であることなんて無いですよね。例えば、一人具合の悪いお客様が出たら、一人のキャビンアテンダントが担当するので、その人の持ち場を他の人がサポートしなければいけない。そんな時は、パッとアイコンタクトできないとダメなので、その辺をチーフパーサーが采配をとらなければいけない。

山本そうですね、ついついお客様にサービスしたくなるのですが、チーフパーサーは一歩離れた所で俯瞰的に全体を見ながら、欠けている所はないか、対応が必要なお客様がいないか、という所を見ながら一人ひとりの仕事の分担を割り振りをしたり、全体をマネジメントする力が求められます。

ー初めてお会いするキャビンアテンダントの方と乗務することがよくあるとお伺いしたのですが、そこでアイコンタクトを取るってすごいですね!

山本最初が肝心なんです。新入生は特に失敗したらどうしようと不安でいっぱいだと思うんです。メンバー全員で安全業務の確認をはじめとしたブリーフィングをするのですが、例えば質問をした時に、答えられなかったり間違った答えでも引きずらないように、気持ちをリセットできるような投げかけを心がけています。あとは笑いを取るようにしています。滑ることも多いけど(笑)。笑顔というものは計り知れないパワーを持っているので一人ひとりからポロっとこぼれた笑顔があるだけで、その方のパフォーマンスはぐんと高まります。そういうことをちょっと気にして乗務していました。

ー小川校長にお伺いします。THLでは、どのような人材育成を目指していますか?

小川「業界と共に」というのがモットーなので、業界の第一線の方から学びながら、将来の夢を描ける事がTHLの大きな特徴です。業界で求められる事は非常に沢山ありますので、しっかりと実力をつけて、業界のニーズを満たす人材を育てたい。まずその業界を知ると身につけなければいけないスキルが分かりますし、一人ひとりの学生が学ぶチャンスを与えられるように海外留学やインターンシップにも力を入れています。単に就職を目指すのではなく、どの業界でも通用する本当に強い人を育てていきたいと思っています。

ー今後、企業様へのインターンシップも予定されています。インターンシップでは学生にどのような事を学んでもらいたいですか?

小川座学では知り得なかった新しい発見が沢山あると思いますし、業界の方々と実際にお会いして交流することができますからね。そこで色んな事を体験して覚えて頂きたいです。

山本「百聞は一見に如かず」ですから、ぜひ来ていただきたいです。また、良い部分だけではなく、大変な部分というのも仕事にはありますから、全体を通して見ていただきたいという事と、ANAグループという企業体の持っている従業員の心持ちや雰囲気を感じていただけたらと思います。それでぜひ「ANAで働いてみたい!」と思って好きになってもらいたいですね。

ー大村さんにお伺いします。採用試験にあたり一番練習したことは何ですか?

大村面接の練習をする時に、自分がどんなふうに話しているのかを客観的に見るために自分で撮影して両親や友人にアドバイスをもらいながら何回も繰り返して練習をしていました。

ー接客をする際に、意識している事や気をつけている事は何ですか?

大村お客様は、様々な事情でご搭乗になっていると思いますので、お客様が何を求めているのか、表面で分かる所だけでなく潜在ニーズを考えながらおもてなしをするという事を意識しています。あとは、クルーのチームワーク。「今日のクルーは雰囲気が良いな」と、チームワークの良さはお客様にも伝わりますので、やはり私がチーフパーサーをやる際には、クルーが何を考えて、どんなふうにすれば、どんなマネジメントをすれば楽しく仕事ができるのか、という事を意識してフライトをしています。

小川お客様が「お水をください」とおっしゃった場合、そこには7つの意味があるという授業をキャビンアテンダントの方はよくやりますよね?

山本そうですね。お薬を飲まれるのか、喉が渇いてらっしゃるのか、いろんな意味で最終的には「お水をください」なんですけど、その至る過程でお客様が感じてらっしゃる事や、欲してらっしゃる事には色んな意味があります。ですから、言葉かけによってお客様のニーズを引き出す。その引き出しの中から使い分けをしながら、お客様が「迷惑かけちゃったな」と思われないようなお声かけがとても大切。杖をついている方がいらっしゃった時には、つまずかないようにお声がけをするのですが、搭乗する際はちょっと段差があるので、「大丈夫ですか?」よりも「大丈夫ですよ」と言って差し上げた方が、受け手の気持ちとしては安心感が広がります。ほんのちょっとした些細な所だと思うのですが、とても大切な事だと思います。

ーキャビンアテンダントになるにあたり、習慣化しておくと良いことはありますか?

山本笑顔で、大きな声で明るく挨拶。挨拶は先手必勝です。

小川機内では普段よりも大きな声でないと相手に聞こえないから、大きな声で堂々と話す事と、引っ込み思案になっちゃって一瞬のタイミングを逃すと大変な事になってしまいますから。

山本私も入社当初、訓練の時に本当に辛かったのは、恥ずかしくて大きな声が出せなかったこと。それでよく教官に怒られました。だんだん大きな声が出るようになって今に至るのですが、はっきり明るく笑顔で大きな声で自分から挨拶をする、お友達にも、先生にも、堂々と。これは絶対だと思います。すぐ身につくものではないと思いますので、ぜひ習慣化されたら良いと思います。

最後に、エアーライン業界を目指す学生にエールをお願いします。

山本色んな経験を積んで、お客様とお話するための引き出しを沢山持っていただくと良いと思います。また、どの道に進んだとしても、人としての成長は続いていきますので、どのステージにおいても、ご自身それぞれの志を持って何事にもチャレンジしていただきたいなと思っています。頑張ってください。