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航空業界の今後は?コロナ後の回復戦略と課題を解説!

航空業界は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年から2021年にかけて飛行機の利用者が急激に減り、航空会社も新卒採用を控えていました。しかし、経済活動の正常化にともない、各航空会社の収入も回復し、現在では新卒採用も以前の水準に回復しています。

この記事では、コロナ禍からの回復状況や今後の課題など、航空業界の今を徹底解説します。将来、航空業界への就職を考えている方はぜひ参考にしてください。

航空業界のビジネスモデル

航空業界のビジネスモデル

航空業界はどのような事業から収入を得ているのでしょうか。航空業界の事業は、大きく以下の3つに分類されます。

  • 旅客運送
  • 貨物運送
  • 旅客販売

旅客輸送

航空業界の旅客輸送とは、人を空路で運ぶ事業のこと。航空券の販売が中心であり、航空会社の主な収益源です。エコノミークラスからファーストクラスまで、さまざまな価格帯の座席を提供しています。また、需要に応じて航空券の価格を変動させることで、収益の最大化を図っています。

さらに、座席のアップグレード、機内食、追加手荷物などのオプションサービスも重要な収入源です。航空会社はこれらのサービスを組み合わせ、顧客満足度を高めつつ、利益を向上させる努力をしています。

貨物輸送

貨物輸送とは、荷物を空路で運ぶ事業のことです。特に輸送のスピードが求められる生鮮食品や緊急物資の配送に適しています。また、電子部品や精密機器など、温度や湿度の変化に敏感な製品の輸送にも広く活用されています。
航空機の貨物室は2度から27度の間で温度管理されており、繊細な製品を最適な環境で輸送できます。さらに、航空輸送は船舶輸送と比べて揺れが少ないため、壊れやすい商品も安全に運ぶことが可能です。
航空貨物輸送の料金は船や陸上輸送より高めですが、その分、輸送にかかる時間は非常に短くなります。特に国際輸送ではその強みを発揮し、世界中の荷物を効率よく運んでいます。

旅客販売

旅客販売とは、航空券の販売や、国内外の旅行プランの企画と販売、顧客からの予約や質問への対応などの事業を指します。航空会社はパッケージツアーを提供することで、自社の飛行機の座席をより多く埋めることができ、収益を上げられます。また利用者は個別に航空券やホテルを予約するよりも安価に旅行を楽しめます。

さらに、ツアーの手配や航空券の販売から得られる手数料も、航空会社の大切な収入源になっています。このように、旅客販売は航空会社の収益を多様化し、安定させる重要な役割を果たしています。

航空会社の種類

航空会社の種類

航空会社の種類は、大きく分けると以下の3種類あります。

  • FSC(フルサービスキャリア)
  • LCC(ローコストキャリア)
  • MCC(ミディアムコストキャリア)

それぞれのサービスにどのような違いがあるのか見てみましょう。

FSC(フルサービスキャリア)

FSC(フルサービスキャリア)とは、多くの路線を運航し、高品質なサービスを提供する航空会社です。日本では、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)が代表的なFSCとして知られています。
ファースト、ビジネス、エコノミーなど異なる座席クラスを用意しており、通常、航空券の料金には機内食や飲み物も含まれています。

FSCは、お客様に快適な飛行体験を提供するために、さまざまな取り組みをおこなっています。たとえば、機内で映画やゲームを楽しめるサービスを提供したり、他の航空会社と提携して多様な目的地への便を運航したりしています。世界中の都市や地方を結びつける重要な役割を果たしているのがFSCです。日本では、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)が代表的なFSCとして知られています。

LCC(ローコストキャリア)

LCC(ローコストキャリア)は、低価格の航空サービスを提供する会社です。さまざまなコスト削減を実施し、FSCより低価格の運賃を実現しています。
たとえば、使用する飛行機の種類を一つに絞ることで、操縦士や整備士の訓練費用を減らしたり、利用者の多い路線だけを運航したりしています。また、機内サービスの有料化や、チケットのインターネット販売などで経費を節約しています。
LCCは、低価格で利用できる一方でいくつかの制限もあります。たとえば、預ける荷物に追加料金がかかったり、乗り継ぎが不便だったりすることがあります。これは、LCCが必要最小限のサービスに絞って効率よく運営し、その分を安い料金として利用者に還元しているためです。LCCは、必要最小限のサービスを提供することで低価格を実現し、お客様に安く飛行機に乗れる機会を提供しています。

MCC(ミディアムコストキャリア)

MCC(ミディアムコストキャリア)とは、LCCとFSCの中間に位置する航空会社です。
MCCは、LCCとFSCの良いところを組み合わせることで、独自の位置を確立しています。たとえば、座席の間隔が LCCより広く、機内サービスも充実していますが、FSCほど豪華ではありません。予算を抑えつつも快適な旅行を望む顧客のニーズに応えています。

航空会社は業績が回復

航空会社は業績が回復

航空業界は、新型コロナウイルスの影響から着実に回復しています。JALとANAは、2024年3月期の決算で増収増益を発表しました。この好調の背景には、経済活動が元に戻り、飛行機を利用する人が増えたことや、海外から日本を訪れる外国人観光客が急増し、国際線の利用者が増えたことがあります。
JALは2023年春から、ANAは、2024年春の入社予定者から客室乗務員の新卒採用を再開しています。

航空業界の現状

航空業界の現状

新型コロナウイルスの影響で飛行機の利用者は激減しましたが、2022年10月に入国制限が緩和されて以降、外国人旅行者が急速に増えています。国内でも新型コロナウイルスの扱いが2類から5類に変更されたことで、航空業界はコロナ禍前の水準を取り戻しています。以下の2つの指標から、航空業界の現状を詳しく見ていきましょう。

  • 外国人観光客の推移
  • 旅客数の推移

外国人観光客の推移

外国人観光客の推移を詳しく見てみましょう。新型コロナウイルスによる行動制限が緩和されて以来、日本を訪れる外国人観光客の数が急速に増えています。
特に円安の影響により、日本は海外からの観光客にとって魅力的な旅行先となっています。2023年には、東京を訪れた外国人観光客の数が約1,954万人に達し、これは2019年の水準を28.7%上回る過去最高の数字です。
外国人観光客による消費額も大幅に増加し、2023年には約2兆7586億円に達しました。特に米国からの観光客の消費が目立っています。

旅客数の推移

航空業界の旅客数は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。2020年から2021年にかけて、旅客数は急激に減少しましたが、その後は人々の移動が再び活発になり徐々に回復しています。国土交通省の調査によると、2023年度の国内線の利用者数は約1億481万人で、前年と比べて15.6%増加しました。さらに、国際線の利用者数は約1,766万人で、前年比85.7%という大幅な増加を示しています。
出典:国土交通省 航空輸送統計年報の概要(令和5年度(2023年度)分)

コロナ禍の航空各社の対応策

コロナ禍の航空各社の対応策

航空会社は、コロナ禍による損失から立ち直るため、さまざまな対策をおこなってきました。ここでは、各社が経営危機を乗り越えるために実施した主な対応策について見ていきましょう。

  • 国際貨物事業に注力
  • LCC事業の拡大
  • 人材の最適化
  • オンライン販売の促進

国際貨物事業に注力

新型コロナウイルスの影響で旅客機の運航が減少するなか、ANAは国際貨物事業に力を入れました。

コロナウイルスの感染拡大で需要が高まったマスクや医薬品などの緊急物資を輸送するため、貨物専用機に加えて旅客機も活用し、国際貨物輸送を強化。この戦略は大きな成功を収め、2021年には2019年のコロナ禍前を上回る利益を達成しました。また、ANAは新型コロナウイルスのワクチン輸送も担当し、厳密な温度管理のもと安全な輸送をおこなっています。

LCC事業の拡大

コロナ禍での対応策として、JALはLCC事業の拡大に力を入れました。JALグループには現在、SPRING JAPAN、ジェットスター・ジャパン、ZIPAIRの3つのLCCが所属しています。
JALはこれらのLCCを活用し、今後回復と成長が見込まれる観光客や友人・親族訪問客向けの市場で収益を上げることを目指しています。特に、中国のさまざまな都市に就航しているSPRING JAPANを通じて、中国からのインバウンド旅客需要に対応しています。

人材の最適化

JALとANAは、コロナ禍による航空需要の低迷に対し、それぞれ異なる方法で人員を最適化しました。
JALは、約3,000人の従業員を新しい分野に配置転換しました。具体的には、格安航空会社(LCC)やマイル事業など、早期の需要回復が見込まれる分野への異動を実施。一方、ANAは約2,300人の社員を外部の企業へ一時的に出向させました。両社とも、厳しい経営環境下にあっても柔軟な人員配置転換を行い、雇用を守り抜きました。

オンライン販売の促進

航空各社は、人々の「コロナ禍でも自宅でも旅行気分を味わいたい」というニーズに応えるサービスも開始。ANAでは、機内食のオンライン販売をスタートさせました。機内食以外にも、航空グッズなどの販売もおこなわれ、航空会社は顧客とのつながりを維持しながら、新しい収益源を見出す努力をしていることを示しています。

航空業界の今後

航空業界の今後

航空業界は、燃料価格の高騰、厳格化する環境法規制などの課題に直面しています。なかでも環境問題は業界全体で取り組むべき課題の一つであり、CO2排出量の抑制や、環境に配慮した運航の実現が求められています。

ここでは4つの今後の対応策を紹介します。

  • インバウンド需要への対応
  • DX化の推進
  • 新たなモビリティサービスへの参入
  • カーボンニュートラルの実現

インバウンド需要への対応

政府は、2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人にするという目標を掲げ、空港の機能強化を進めています。たとえば、羽田空港では新しい飛行経路の運用を開始し、成田空港では滑走路の延長や新設を計画しています。
外国人観光客が、東京や大阪だけでなく日本のさまざまな地域を訪れやすくなるよう、日本政府は、地方空港の国際線受け入れ態勢を強化しています。具体的には、飛行機が安定して運航できるように十分な燃料を確保する仕組みを整備しています。

DX化の推進

航空業界は、人口減少による将来の人手不足に対応するため、デジタル化を加速させています。最近では、モバイル端末一つで航空券の予約から搭乗までの一連の手続きが完結できるようになり、利用者の利便性が大幅に向上しました。また、顔認証技術を用いた新しい搭乗システムも運用が開始されています。

こうした技術革新により自動化が進むなかで、人間ならではの気配りや、お客様の気持ちに寄り添ったきめ細かなサービスも、より一層求められるようになるでしょう。

新たなモビリティサービスへの参入

航空業界は、ドローンや「空飛ぶクルマ」といった新しいモビリティ技術の開発に挑戦しています。これらの最新技術は、大都市の交通渋滞を減らしたり、離島や山奥に住む人々の移動を便利にしたり、災害時に怪我人を素早く運んだりするなど、社会のさまざまな問題を解決する可能性を秘めています。
ANAとJALは共に、ドローン事業や空飛ぶクルマの実用化に向けて積極的に取り組んでいます。たとえば、ANAはトヨタ自動車が出資するアメリカのJobyの企業と共同開発を進め、JALは2025年までの事業化を目指しています。

カーボンニュートラルの実現

航空業界は、気候変動対策としてカーボンニュートラルの実現に取り組んでいます。日本では、2030年までに空港の温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減し、2050年までにはゼロにすることを目標としています。
この目標達成のため、政府と民間企業が協力して新しい技術や低燃費機材の導入、運航方法の改善、持続可能な航空燃料SAFの使用、空港施設の二酸化炭素排出削減などを進めています。
特にSAFは2050年のカーボンニュートラルの実現に不可欠であり、国産SAFの実用化を目指しています。さらに、電気や水素を動力とする飛行機の開発や、空港の施設や車両の電動化も進行中です。

SAFとは?

SAF(Sustainable Aviation Fuel)は、航空業界がカーボンニュートラルを目指すうえで重要な持続可能な航空燃料です。植物や廃食油、都市ゴミなどを原料とし、従来のジェット燃料と比べて二酸化炭素排出量を60〜80%削減できます。
SAFの特徴は、原料となる植物が成長過程で二酸化炭素を吸収することです。そのため、燃焼時に排出される二酸化炭素が再び植物に吸収されるという循環が生まれます。これにより、大気中の二酸化炭素をほとんど増やすことなく航空機を運航できます。

航空業界で働きたいなら専門学校がおすすめ

人々と貨物を空路で運ぶ重要な役目を果たしている航空業界。新型コロナウイルスの影響から回復した現在は、CO2排出量の削減やDX化などの課題に取り組んでいます。
将来航空業界で働きたい方は、専門学校で学ぶのがおすすめです。東京ホテル・観光&ホスピタリティ専門学校では、主にキャビンアテンダントとグランドスタッフを目指す方向けに2つのコースを用意しています。

キャビンアテンダントコース」では、現職の客室乗務員や人事部門のプロフェッショナルから直接指導を受けることができます。羽田空港での長期インターンでは、実際にお客様への接客を経験します。

エアーライングランドコース」では、グランドスタッフとして必要な接客スキルを、航空会社で現役スタッフから直接学ぶことができます。6ヵ月間のオーストラリア語学留学では、語学スキルを強化しながら、国際的な視野と知識を身につけることができます。

体験入学や個別相談会も開催していますので、ぜひ参加されてみてください。

体験入学・個別相談会

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