ハブ空港とは?種類や特徴・世界や日本のハブ空港について解説
世界にある空港のなかには、ハブ空港と呼ばれる空港があります。ハブ空港とは、多くの航空路線が集まる乗り継ぎに便利な空港のことです。
この記事では、ハブ空港について詳しく解説していきます。世界や日本のハブ空港についても紹介していきますので、ハブ空港について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
ハブ空港とは?
ハブ空港とは、航空機の乗り継ぎ拠点として利用されている、多くの航空路線が集まる空港のことです。
ハブ空港の「ハブ」という言葉は、自転車の車輪の中心部分を指します。ハブ空港を拠点として、多くの空港へ飛行機が飛んでいく様子が、車輪の中心から放射状に広がる線を連想させることから「ハブ空港」と呼ばれるようになりました。
多くの乗り継ぎ便で利用されるハブ空港では、利用者が待ち時間を退屈せずに過ごせるよう、販売店や飲食店など便利な施設が充実しています。
ハブ空港には2つの種類がある
ハブ空港は、主に航空会社視点の「航空会社ハブ空港」と利用者視点の「拠点都市ハブ空港」の2つに分類されます。
航空会社ハブ空港は、特定の航空会社が自社の航空便を運用する際の中心地として位置付けた空港のことです。航空会社は、機材や整備、スタッフなどをハブ空港に集めることで、効率よく運営していくことができます。
たとえば、成田空港は、日本航空・全日空・デルタ航空・ユナイテッド航空などが、関西空港は、日本航空・全日空・中国の春秋航空などがハブ空港として利用しています。
一方で、拠点都市ハブ空港は、その地域の拠点地として多くの人に利用される空港のことです。航空会社を問わず乗り換えが便利な空港で、別の地域に移動する際の玄関口となっています。
ハブ空港のメリットやデメリット
ハブ空港には、メリットやデメリットがいくつかあります。
デメリットとして、乗り換えが必要になる場合があることが挙げられます。ただし、利用者によっては必ずしも乗り換えが必要というわけではなく、目的地がそのハブ空港であるケースもあります。たとえば、ロンドン・ヒースロー空港(LHR)は、東京からロンドンに向かう際、乗り換えをせずに直接到着できるため、乗り換えを行わない場合も少なくありません。しかし、乗り換えが不要な利用者にとっても、ハブ空港でトラブルが発生すると複数の路線に影響が及び、トラブルが拡大するリスクがあります。
ハブ空港のメリットとして、航空機を効率よく運用できる点が挙げられます。
具体的にはハブ空港があることで、全ての空港を直通でつなぐよりも、少ない路線数で空港同士をつなげることができます。たとえば10の空港同士をすべて直通で結ぶ場合、45の路線が必要ですが、ハブ空港が1つあると9路線で済みます。
直通の路線数を削減できれば、その分、航空会社は各路線の便数を増やすことができます。便数が増えれば、利用者にとっても便利になるでしょう。
ハブ空港にはデメリットもありますが、全体的に見ると、航空機を効率的に運用するためのメリットのほうが大きいといえます。
ハブ空港の特徴や条件
ハブ空港として機能するためには、いくつか必要な条件があります。
ハブ空港の特徴や条件は、以下のとおりです。
- 空港使用料(着陸料)が安い
- 空港内の施設が充実している
- 国際線と国内線の路線数が多い
- 多くの空港の中心に近い場所にある
ここからは、ハブ空港の特徴や条件について詳しく紹介していきます。
空港使用料(着陸料)が安い
一般的に、ハブ空港は利用頻度が高いことから、空港使用料が安くなっています。空港使用料とは、航空会社が着陸する際に支払う料金のことです。
空港使用料は、航空チケットの価格にも影響します。空港使用料が安ければ、航空会社はその分をチケット代に反映させることができるため、航空チケット代も安くなります。
航空チケット代が安くなれば、利用者の負担を減らすことにもつながるでしょう。
空港内の施設が充実している
ハブ空港は飛行機の乗り継ぎ拠点であるため、乗り継ぎ時に待ち時間が発生することがよくあります。
そのため、利用者が待ち時間を快適に過ごせるよう、空港内にはさまざまな施設が整備されています。レストランやカフェ、無料のスリーピングスポット、ラウンジ、シャワーなど、長時間の滞在にも対応できる便利な施設が充実しています。
国際線と国内線の路線数が多い
ハブ空港は、国際線と国内線のどちらの路線数も多く、充実していることが特徴です。
また、ハブ空港では、国際線から国内線へ、国内線から国際線への乗り継ぎが簡単にできるのもメリットです。仮に国際線と国内線の乗り継ぎが不便であれば、ハブ空港としての機能が弱くなってしまうでしょう。
さらに、ハブ空港は国内の移動拠点だけではなく海外への拠点としても利用されるため、海外からの路線数の多さも重要になってきます。たとえば、シンガポール・チャンギ空港のような一部の空港では、国際線が充実していることで、ハブ空港として多くの人に利用されています。
多くの空港の中心に近い場所にある
ハブ空港は、多くの空港の中心に近い場所に位置していることが多いです。
航空会社にとって、中心的な位置にある空港をハブ空港にすれば、多くの路線を効率よく運航できます。
大型旅客機の離着陸が可能な滑走路がある
ハブ空港には、大型の国際長距離便が離着陸できるよう、十分な長さと幅がある滑走路があります。また、ハブ空港は、飛行機が滑走路まで移動するための誘導路も国際的な基準を満たしている必要があります。
ハブ空港としての機能を上げていくためには、滑走路の本数を充実させ、乗り継ぎの便数を増やしていくことも重要です。
世界のハブ空港を紹介
世界には、ハブ空港として機能している空港がいくつかあります。
ここからは、イギリスの航空データOAG社の、国際線からの乗り継ぎ便が最も充実しているハブ空港機能のランキング「メガハブ・インデックス2023」を参考に、世界のハブ空港を紹介していきます。
「メガハブ・インデックス2023」による、世界のハブ空港ランキングは以下のとおりです。
順位 | 空港名 |
---|---|
1 | ヒースロー空港(英国) |
2 | ジョン・F・ケネディ国際空港(米国) |
3 | スキポール空港(オランダ) |
4 | クアラルンプール国際空港(マレーシア) |
5 | 羽田空港(日本・東京) |
6 | フランクフルト国際空港(ドイツ) |
7 | イスタンブール新空港(トルコ) |
8 | 仁川国際空港(韓国) |
9 | シャルル・ド・ゴール国際空港(フランス) |
10 | シカゴ・オヘア空港(米国) |
出典:MEGAHUBS 2023 DISCOVER THE MOST CONNECTED AIRPORTS IN THE WORLD
世界1位のハブ空港は、英国ロンドンのヒースロー空港です。ヒースロー空港は、ヨーロッパの主要な空港のひとつで、世界中の国や地域とつながっています。
また、アジア地域の空港で最も順位が高いのは、マレーシアのクアラルンプール国際空港です。世界とアジアをつなぐ主要な空港で、アジア最大級の広さを誇り、成田空港の約10倍もあります。
日本では、羽田空港が5位にランクインしています。
日本にあるハブ空港は?
日本にある主要なハブ空港として、成田空港と羽田空港が挙げられます。成田空港と羽田空港は国内外の多くの路線が集中し、日本国内や世界への乗り継ぎ拠点として重要な役割を果たしています。また、関西空港も、主要なハブ空港を目指しています。
長年、日本はアジアの他の国よりもハブ空港化が遅れている問題がありました。近年では、ハブ空港機能のランキング「メガハブ・インデックス2023」で羽田空港が5位に入り、国際的なハブ空港としての地位を高めつつありますが、今後も主要空港がハブ空港としての機能を向上させていくことは日本の課題となっています。
成田空港
成田空港はアジアや日本の主要ハブ空港のひとつです。
日本は、アメリカとの航路では他のアジアの国と比べると地理的に優位な位置にあります。そのため、成田空港はアメリカへの直行便が多く就航しています。
しかし成田空港は、騒音問題対策として運用時間に制限が設けられていることや、滑走路の整備不足が国際的なハブ空港として機能するための課題です。
現在は、成田空港が海外のハブ空港との競争に勝ち抜くために、新滑走路の整備や新旅客ターミナルの検討が進められています。
羽田空港
羽田空港は、国際線と国内線の乗り継ぎ機能を持つハブ空港です。東京都心部まで電車で20分程度と、非常に便利な立地が魅力です。
また、羽田空港では2010年に4本目の新滑走路を併用し、本格的な国際線の運航が開始され、ハブ空港としての機能を高めています。世界のハブ空港機能のランキング「メガハブ・インデックス2023」では、5位にランクインしました。
一方で、羽田空港はすでに多くの国内線が運航しているため、国際線に割り当てる枠が限定されていることが課題となっています。
関西空港
関西空港は、24時間稼働しているのが特徴の、西日本の拠点空港です。24時間稼働していることから、国際貨物ハブ空港としても期待されています。
ただし、関西空港では他のハブ空港と比べ、長距離路線の少なさが課題としてあります。そのため、今後関西空港がハブ空港として利用されるのを目指すためには、長距離路線の強化が必要です。
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