ランドオペレーターになるには?仕事内容や必要な資格・スキルや年収を紹介
「ランドオペレーター」という仕事を聞いたことがありますか。
一般の人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、旅行会社が企画したツアーを実施するための大切な職業です。
この記事では、ランドオペレーターの仕事内容や必要な資格、年収について詳しく解説します。
「世界中の観光に詳しくなりたい」「将来は日本だけでなく、世界を相手に仕事がしたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ランドオペレーターとは?
「ランドオペレーター」とは、旅行会社の依頼を受けて、旅行先のレストランやホテル、交通機関などの手配や予約をおこなう仕事です。
ツアーオペレーターと呼ばれることもあります。呼び方が異なるだけで同じ職業です。
旅行会社と観光業者の仲介を担う役割で、観光客と直接やり取りするケースはほとんどないものの、企画どおりの旅行を滞りなくおこなうために大切な職業です。
ランドオペレーターは現地に関する深い知識があり、旅行会社が直接現地と連絡を取るよりもランドオペレーターに委託したほうが効率がいいと考えられています。
大手旅行会社のほか、手配代行を専門におこなう会社がランドオペレーターの勤務先です。
特に海外旅行での手配や予約をおこなうことが多く、海外に支店や子会社がある旅行会社以外は、現地で勤務するランドオペレーターに手配や予約を委託するケースがほとんどです。
日本からの海外旅行だけでなく、訪日外国人観光客(インバウンド)の対応を日本国内でおこなうこともあります。
ランドオペレーターの給料や年収は?
ランドオペレーターの年収は、求人ボックスやindeedなどの求人情報から、240〜480万円程度と推測できます。
知識と経験が物をいう仕事なので、実績を積んで管理職に出世すれば年収を上げることが可能です。
また、資格手当を出している会社もあります。後述する旅行業に関する資格を取得することで、資格手当でも収入を増やせます。
ランドオペレーターの仕事内容
ランドオペレーターは、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。大きく分けると次の4つです。
- 依頼主との打ち合わせ
- 施設や交通機関の予約・手配業務
- ツアーガイドの手配
- 免税店における物品販売の手配
順に解説します。
依頼主との打ち合わせ
ランドオペレーターにとっての依頼主、つまりお客様は、基本的には旅行を企画する旅行会社です。
まず旅行会社と企画の打ち合わせをおこない、予約や手配などの依頼内容を確認します。予約や手配をおこなったあとには、その結果を依頼主に報告するのがランドオペレーターの仕事の流れになります。
パッケージツアーに必要な情報やサービスを旅行会社に提供し、新企画の営業をおこなったり、依頼主からの問い合わせに対応したりするのも大切な仕事です。
施設や交通機関の予約・手配業務
次に、航空券や現地の交通機関などの手配、ホテルや飲食店の予約、イベントのチケットの手配など、依頼内容にそって実際に手配業務をおこないます。
スムーズに旅程が進行し、お客様の満足度を安定させるには、ランドオペレーターの正確な手配業務が非常に重要です。
もし、ツアーのお客様が現地に到着して、レストランやホテルの予約が取れていなければ、旅程全体が台無しになってしまうでしょう。
そのため、ランドオペレーターはツアーに利用するホテルを調査したり、予約を確認したり、コースの下見をおこなったりすることもあります。
ツアーガイドの手配
観光に同行するスタッフやツアーガイドの手配もランドオペレーターがおこないます。
日本人による海外旅行のケースでは、現地スタッフの日本語力がどの程度か確認しなければなりません。
海外からの訪日外国人観光客を案内するツアーガイドを国内で手配するケースでは、インバウンド対応がどの程度進んでいるかも確認します。
免税店における物品販売の手配
旅行会社からの依頼で、ランドオペレーターは免税店での物品販売の手配もおこないます。
以前は、謝礼金を受け取ることを目的として特定の免税店に連れ回すような手配が問題になることがありました。
2018年に旅行業法が改正され、旅行サービス手配業は登録制になり、ランドオペレーターは適切で公正な手配をおこなうことが定められています。
そのため、悪質なランドオペレーターによる免税店の手配は減っているものと推測できるでしょう。
旅行サービス手配業の登録については、ランドオペレーターに必要な資格の章で詳しく解説します。
ランドオペレーターに求められる能力やスキル
旅行のための航空券やホテルの予約は、旅行業に従事していなくてもできる人は多いでしょう。
しかし、現地での細かい移動方法やおすすめのレストラン、病気になった場合の病院への案内などは、旅行会社だけでは手配しきれないことがあります。そのためのランドオペレーターです。
現地でさまざまな手配をおこなうランドオペレーターには、どのようなスキルが必要でしょうか。それは次の3つになります。
- 観光先に関する豊富な情報
- 交渉力
- 語学力
1つずつ解説します。
観光先に関する豊富な情報
まず第一に、旅行先の観光地に関する豊富な情報を持っていなければなりません。
ランドオペレーターは、いわば「旅の総合案内所」です。ホテルや飛行機だけでなく、現地の貸切バスやレストランなどの情報も旅行会社に情報提供して手配します。
旅行会社から「〇〇という観光地で、予算〇円でこのような料理が食べられるレストランを手配して欲しい」という依頼があれば、それに沿ったレストランや適切な移動手段の手配ができなければなりません。
そのため、ランドオペレーターは国内外問わず、依頼主の旅行会社よりもさらに豊富な観光地の情報を持っている必要があります。
交渉力
ランドオペレーターは、ホテルや旅行会社などとのやり取りで業務を進めます。そのため、交渉力やコミュニケーション能力は必須です。
交渉の相手は日本だけではないため、国籍の違うスタッフの文化や習慣を理解しつつ、適切なコミュニケーションを取らなければなりません。
有利に交渉を進められればツアーのお客様に喜ばれますし、ランドオペレーターとしての評価も上がります。
語学力
海外の旅行会社や施設の責任者と交渉することも多いランドオペレーターには、語学力も欠かせません。
日本人の海外ツアーであれば現地の観光業者とやり取りしますし、訪日外国人の日本国内ツアーならば海外の旅行会社から依頼を受けることになります。
そのため、日本国内で勤務する場合も、語学力に長けている方は重宝されるでしょう。
日本からはアジア圏の海外ツアーも多くありますので、英語だけでなく、中国語や韓国語などのスキルもあるとさらに有利です。
ランドオペレーターに必要な資格は?
ランドオペレーター業をおこなうには、つまり旅行会社から依頼を受けて宿泊サービスや運送の手配をおこなうには、「旅行サービス手配業」の登録が必要です。
2018年1月の旅行業法の改正により、旅行サービス手配業の登録が義務化されました。旅行サービス手配業の登録をおこなうには、「旅行サービス手配業務取扱管理者」の資格を取得しなければなりません。
ランドオペレーター業をおこなうのに必要な資格や、持っていると有利な資格は、次の5つです。
- 旅行サービス手配業務取扱管理者
- 旅行業務取扱管理者(国内・総合)
- 旅程管理主任者資格(国内・総合)
- インバウンド実務主任者
- IELTS
順番に解説します。
旅行サービス手配業務取扱管理者
「旅行サービス手配業務取扱管理者」は、2018年の旅行業法改正によって新設された資格で、旅行サービス手配業に従事しているか、従事する予定のある人が受講できます。
改正以前は、ずさんな手配により安全性が確保されていないバス会社による死亡事故が起きたり、無報酬でのツアーガイドの手配や、謝礼金を受け取る目的で特定の免税店へ連れ回したりすることが横行していました。
旅行サービス手配業者は、営業所ごとに旅行サービス手配業務取扱管理者の資格を取得した人を選任し、資格取得者が各都道府県知事に登録を申請すると、手配業に携わることが認められます。
登録が義務化されたことで、ランドオペレーターの信頼性や安全性が保障されたともいえます。
資格を取得するには、研修の受講が必要です。研修の内容は主に次の2つです。
- 旅行業法および旅行業約款に関する科目
- 旅行サービス手配業務に関する科目
研修受講のあと、修了テストで一定以上の成績を修めると資格が取得できます。
営業所のなかで資格を取得し登録した人がいれば、必ずしも全員取得が必要というわけではありません。しかし学生の間に取得しておけば、ランドオペレーターとしての就職に有利になるでしょう。
旅行業務取扱管理者(国内・総合)
「旅行業務取扱管理者」は、旅行業における唯一の国家資格で、旅行業者に取得が義務付けられています。試験は年に1回です。
旅行業者がツアーのような旅行商品を販売するには、各営業所に1名以上の旅行業務取扱管理者の配置が必要であると旅行業法で定められています。
旅行業務取扱管理者は、次の2種類です。
国内旅行業務取扱管理者は、一般社団法人 全国旅行業協会(ANTA)が実施する試験で、国内の旅行商品が取り扱えます。
総合旅行業務取扱管理者は、一般社団法人 日本旅行業協会(JATA)が実施する試験で、国内だけでなく海外旅行商品も取り扱えます。
試験科目は次のとおりです。
- 旅行業法及びこれに基づく命令
- 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
- 国内旅行実務
- 海外旅行実務(総合旅行業務取扱管理者試験のみ)
総合旅行業取扱管理者は、出題範囲に海外旅行実務が加わることで出題範囲が広くなり、難易度も高くなります。
ランドオペレーターとして手配業のみをおこなう場合は「旅行サービス手配業務取扱管理者」の取得だけで問題ありません。
また「旅行業取扱管理者」を取得すれば、「旅行サービス手配業務取扱管理者」の取得は不要です。
旅程管理主任者資格(国内・総合)
「旅程管理主任者」とは、ツアーコンダクター(添乗員)のことです。
添乗業務をおこなうには、旅程管理主任者の資格保有者が必ず1名以上同行しなければならないと、旅行業法で定められています。
旅程管理主任者にも「国内旅程管理主任者」と「総合旅程管理主任者」の2種類があり、国内旅程管理主任者は国内ツアーの添乗業務、総合旅程管理主任者は国内と海外ツアーの添乗業務がおこなえます。
資格取得の方法は次のとおりです。
- 旅程管理研修を修了し、試験に合格する
- 一定の添乗実務を経験する
「旅程管理研修」と修了試験の内容は次のとおりです。試験では全ての科目について各科目満点の60%以上の成績を収める必要があります。
- 旅行業法令及び旅行業約款
- 旅行管理業務(国内旅行実務)
- 旅程管理業務(語学)※総合コースのみ
- 旅程管理業務(海外旅行実務)※総合コースのみ
また「一定の添乗実務」とは、旅程管理研修修了日の前後1年以内に1回以上、または研修終了日から3年以内に2回以上の添乗実務経験を指します。
(参考:一般社団法人 日本添乗サービス協会、一般社団法人 日本旅行業協会(JATA))
インバウンド実務主任者
「インバウンド実務主任者」は、一般財団法人 全日本情報学習振興協会が認定する資格です。
インバウンド(Inbound)とは、外国人が日本に訪れる旅行のことで、インバウンド実務主任者資格は、インバウンドビジネスに携わる人材の育成を目的として開催されています。
試験で問われるのは次のような内容です。
- インバウンドビジネスの現状と今後の動向
- インバウンドの集客
- 訪日外国人の理解と対応
- ニューツーリズムや観光街づくりについての知識
また、外国語検定の資格を取得していると、申請することで総合点に6点加算されます。英語の場合は、英検2級以上やTOEIC600点以上などです。
問題は87問あり、90点満点の80%以上(72点)で合格です。外国語検定取得者の加点を申請した場合は、66点+6点=72点以上で合格となります。
IELTS
「IELTS(アイエルツ)」は、「英検」を実施する公益財団法人 日本英語検定協会が実施する検定試験です。
「アカデミック・モジュール」と「ジェネラル・トレーニング・モジュール」の2つのタイプのテストがあります。
前者は、受験生の英語力が、英語で授業をおこなう大学や大学院に入学できるレベルにあるかを評価するものです。後者は、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドへの移住申請をする際の英語力証明のために受験するのが一般的です。
国際通用性が高いのが特徴で、140ヵ国、11,000以上の機関で認定されているほか、日本の入試にも採用されています。
ランドオペレーターのやりがいと魅力
国内外の情報に精通しているランドオペレーターは、世界中の情報に詳しくなりたい旅行好きな方に最適な職業といえます。
では、ランドオペレーターの具体的なやりがいや魅力とはどのようなものでしょうか。次の3つです。
- 観光先の文化や歴史の魅力をお伝えできる
- よい思い出を作るお手伝いができる
- 多くのお客様と関われる
順番に解説します。
観光先の文化や歴史の魅力をお伝えできる
ランドオペレーターは、ツアー関係者の誰よりも現地の文化や歴史について理解しています。その魅力をお伝えできるのはやりがいになるでしょう。
特に海外では、日本とは違う文化や習慣に戸惑う旅行客も多いでしょう。現地の人でなければ知り得ないような情報は、初めてその土地を訪れる旅行客にとって非常に心強いです。
「自分が提供した情報で旅行会社や旅行客に喜んでいただける」ということは、大きなやりがいになります。
よい思い出を作るお手伝いができる
上記と関連して、そうした現地の細かな情報が伝えられることで、旅行客は安心してよい思い出を作ることができます。
旅行会社が企画したツアーがいかに素晴らしくても、ホテルやレストランなどの内容が伴わなくては、旅行客は「よいツアーだった」とは感じられないでしょう。
ときには、粘り強く情報を集めたり交渉をおこなったりしなければならない、手配が難しいものもあるかもしれません。そうして苦労した結果、旅行会社や旅行客に満足いただけるものを提供できれば、大きな達成感を味わえます。
たくさんの人と関われる
ランドオペレーターは、日本の旅行会社だけでなく、海外の施設関係者や旅行代理店、ツアーガイドなど多くの人と関わる仕事です。
日常的に国内外の幅広い人脈から情報を得て、交渉し、提供するという仕事はそう多くありません。多くの人と仕事ができることも、ランドオペレーターの魅力の1つといえます。
ランドオペレーターに向いている人の特徴
ランドオペレーターに向いているのは、次のような人です。
- 観光が好きな人
- きめ細かな気配りができる人
- 計画を立てるのが好きな人
順に解説します。
観光が好きな人
観光が好きな人、海外の情報を仕入れることが好きな人にとっては、ランドオペレーターは最適な仕事といえます。
海外の情報を熟知しておかなくてはならないことは大変ですが、海外の情報や異文化交流に興味がある人にとっては、それも苦にならないかもしれません。
海外事情に詳しくなることで、自分が海外旅行をする際にも楽しみが増えるでしょう。実際に現地に旅行してみることで、さらに多くのニーズにも対応できます。
きめ細かな気配りができる人
ランドオペレーターは、旅行中の大きなトラブルを防ぐために細かい部分まで気を使わなければなりません。そのようなきめ細かな心配りができる人はランドオペレーターに向いています。
手配済みのツアーの日程をチェックしたり、パソコンで情報を調べたり、コツコツとした作業も多い仕事で、几帳面に取り組まなくてはなりません。
丁寧な気遣いができる人は、ランドオペレーターに向いているといえるでしょう。
計画を立てるのが好きな人
旅行の計画を立てるのが好きな人は、ランドオペレーターに向いています。
ツアーのお客様はもちろん、企画した旅行会社の社員でさえも、不慣れな海外の地は多いものです。
ランドオペレーターは、そのようなお客様のために立ち寄る施設や貸切バス、ホテルなどの手配や交渉をおこないます。そのため、旅行客が安心して旅行を楽しめるように万全な計画を立てなければなりません。
まとめ:お客様に快適な旅をお届けしましょう
ランドオペレーターは、ツアーに参加した旅行客に快適に過ごしていただくため、豊富な情報を駆使して、旅行会社に依頼された施設や交通機関の予約や手配をおこなう仕事です。
将来はランドオペレーターとして、ツアーに参加した旅行客にさらに旅を楽しんでいただきたいと考える方なら、東京ホテル・観光&ホスピタリティ専門学校の「観光ホスピタリティマネジメントコース」での資格の取得をおすすめします。
1年目から、産学連携でJTBや近畿日本ツーリストなどさまざまな旅行企業と連携し、国内外の観光やリゾートの知識を実践的に学んで、魅力を発信できるようになることを目指す学校です。
旅行業に必須の資格を取得し、さらにオーストラリアでの語学留学や海外インターンシップを通して、海外のお客様への接客も不安なくおこなえる語学力が身につきます。
(渡航費と滞在費は別途必要です)
「ワーク&スタディ」制度を利用して、実際に現場で働いて収入を得ながら学べるのも特徴です。
資格に関しては、「国内・総合旅行業取扱管理者」や「全国通訳案内士」など難易度の高い資格取得を目指せますので、人気の高い旅行業への就職に向けて大きなアピールになります。
最新のテクノロジーを駆使して魅力的なツアーを企画してみたい方は、「観光IT・デジタルプランナーコース」がおすすめです。
こちらのコースでは、観光の知識を得たり英語力を鍛えたりするほか、ドローンやVRなどのテクノロジー技術を身につけ、新しい形のツアープランを提供できるようになります。
どちらのコースにするか決められない、まったく別の分野も学んでみたいという方は、「Wメジャーカリキュラム」を利用してください。
2つの専攻を同時に受講できるので、進路に迷っている方におすすめです。
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卒業後も「生涯就職サポート」制度で、キャリアアップや転職の際も一生涯に渡って就職をサポートしています。
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24時間対応可能なネット出願もあります。ぜひご活用ください。
東京ホテル・観光&ホスピタリティ専門学校で、お客様により快適で素敵な旅の思い出をお届けできるランドオペレーターを目指してみましょう。