ユニバーサルマナー検定とは?取得のメリットや級による違いも紹介
ユニバーサルマナー検定とは、多様な人々に配慮し、適切な対応を実践するための知識を学ぶ検定です。「資格取得のメリットは?」「仕事に活かせるのか?」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。
この記事では、ユニバーサルマナー検定の基本情報や、特徴、取得するメリットについて紹介します。各級の違いについても解説するので、ユニバーサルマナー検定に興味のある人や、詳しく知りたいと思っている人は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ユニバーサルマナー検定とは
ユニバーサルマナー検定とは、株式会社ミライロが主催・運営している民間資格です。検定で問われる「ユニバーサルマナー」とは、自分と異なる誰かの視点に立った心遣いや行動を指します。
たとえば、外国の方や高齢者、障害者など困っている人を見かけたときに、声をかけて行動に移せる人はどれくらいいるでしょうか。実際どう声をかければ良いのか分からず、手助けをできない人が多くいます。しかし、適切な声掛けやコミュニケーション方法を知るだけで行動に移すことができるのです。
ユニバーサルマナー検定では、高齢者や障害者など、多様な人々と向き合うための細かい配慮(マインド)や実践(アクション)を体系的に学びます。検定には1級・2級・3級の3種類あり、各級で定められた講義を受講しますが、1級と2級では試験への合格が必須です。
2024年8月時点では認定者数が22万人を超えており、注目されている資格のひとつといえるでしょう。
ユニバーサルマナーが必要とされる背景
ユニバーサルマナーが必要とされている背景には、多様な方々への配慮や心遣いが必要不可欠になっていることがあげられます。総務省統計局の「統計からみた我が国の高齢者」によると2024年9月15日時点の現在日本で暮らす人々の29.3%が65歳以上の高齢者であると発表しています。内閣府の「令和6年版 障害者白書」の参考資料によれば国民の約9.2%が何らかの障害を有していることからも、社会にはさまざまな人が関わり合いながら共存していることがわかるでしょう。
また、2016年に施行された「障害者差別解消法」では障害を理由とした差別の禁止と、合理的な配慮の提供を行政機関に義務付けました。さらに、2024年4月の改正法では、今までは努力義務だった企業や民間事業者にも義務付けたことで、ユニバーサルマナーの重要性がますます問われています。
そのため、ユニバーサルマナー検定はホテル業界や航空業界をはじめとする多くの企業から関心が寄せられています。
出典:
統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
令和6年版 障害者白書
ユニバーサルマナー検定の3つの特徴
多くの企業や人々に注目されているユニバーサルマナー検定ですが、資格についてより理解するために特徴を紹介していきます。
ユニバーサルマナー検定の特徴は以下の3つです。
- 幅広い業界で支持されている
- 受講者の満足度が高い
- 多様な受講スタイルで時間や場所に縛られない
それぞれ具体的に解説していきます。
幅広い業界で支持されている
ユニバーサルマナー検定はサービス業を中心に、多種多様な業界で支持されています。飲食店や小売店、ホテル、結婚式場などの接客をメインにした業界はもちろん、保険業界、テレビ業界、航空業界などさまざまです。
企業が社内研修として検定を実施することも多くあり、上場企業から教育機関、自治体など導入事業者は1,000社を超えています。
ユニバーサルマナー検定の取得はどんな企業に就職する際も、アピールポイントになるでしょう。
受講者の満足度が高い
受講者の満足度が高いのも、ユニバーサルマナー検定の特徴です。満足度が高い理由のひとつとして、障害のある方がカリキュラム監修と講師を務めていることがあげられます。そのため、当事者目線の本当に必要とされる知識や行動が身につくのです。
たとえば、シチュエーションや障害の種類によって困っている人は求めていることが異なります。そのため、まずは「何かお手伝いできることはありますか」という声掛けが重要であるということなどを学びます。
級によって異なりますが、専用の機材をつけて当事者体験をしたり、障害のある方も含んだグループディスカッションをおこなったりすることも検定の特徴的です。
知識を学ぶだけでなく、当事者視点の細やかな配慮をカリキュラムを通して身に付けられるのがユニバーサルマナー検定の魅力の一つです。
多様な受講スタイルで時間や場所に縛られない
ユニバーサルマナー検定では各級においてカリキュラムを受講する必要があるのですが、受講形式は3種類から選ぶことができます。そのため、時間や場所に縛られないのも特徴といえるでしょう。
受講形式は以下の3種類となっています。
- eラーニング
- オンライン
- 会場受講
eラーニングでは、あらかじめ用意された動画をパソコンやスマートフォン、タブレットを利用して視聴できるため時間や場所に縛られません。オンラインはWeb会議を用いたライブ配信のため、遠方で会場受験が難しい人も臨場感のある講義が受けられます。会場受験のメリットは、講師と対面して学べることです。
それぞれスタイルが異なるため、自分にあった受講方法を選べるのもユニバーサルマナー検定が選ばれる理由となっています。
ユニバーサルマナー検定を取得する3つのメリット
社会全体でユニバーサルマナーへの関心が広まっているため、検定の取得にはさまざまなメリットが考えられます。ここでは、以下の3つのメリットについて紹介していきます。
- 多様な人々へ理解が深まる
- 仕事に活かせる
- 自分自身の成長につながる
それぞれ具体的にみてみましょう。
多様な人々への理解が深まる
現在日本では高齢者や障害者、外国人など異なる背景を持つ人々が暮らしています。学校や仕事だけでなく、日常生活においても、多様な人々と接する機会が増えているはずです。
検定を受けて、異なる背景を持つ人々も自分ごとのように理解することができれば誰もが住みやすい社会の実現に近づきます。そして、困っている人を見かけたときにも適切な対応ができるようになるでしょう。
仕事に活かせる
ユニバーサルマナー検定で得た知識や技能は、おもてなしをメインにする接客業で主に役立ちます。
たとえば、目の不自由な方や妊婦に対する配慮や、車いすの方へのサポートなど具体的な言葉掛けや行動などが学べることから、自信を持って接することができるでしょう。
また、接客業でなくてもさまざまな背景を持つ同僚に対する配慮も身に付き、気持ち良く働ける環境づくりにも役立ちます。
社会全体でユニバーサルマナーへの意識が高まっているため、就職をする際にもアピールできる資格といえるでしょう。
自分自身の成長につながる
ユニバーサルマナー検定で身に付いた知識や技能は、何より自分自身に新たな気づきをもたらしてくれるはずです。
今まで、困っている人を見かけても何もできなかった自分が、正しい知識を身に付けることで「何かお手伝いしましょうか」と声掛けができるようになるでしょう。
ユニバーサルマナー検定の取得は、自分の行動を変えるきっかけになり新たな価値観を生み出してくれます。
ユニバーサルマナー検定の学べるカリキュラム
ユニバーサルマナー検定には3級~1級まであります。まずは3級を目指し認定後に2級、1級と上級に進んでいきます。各級で学習内容や認定条件が異なりますが、全てにおいて講義の受講が必要です。
各級の講義や試験内容などから、何を学べるのかを具体的に紹介していきます。
ユニバーサルマナー検定3級
3級はユニバーサルマナーの入門講座として、人との違いを理解し1歩踏み出せる人を目指します。試験はなく、講義のみで認定されるのが特徴です。また、一度認定されると更新の必要はありません。
具体的には、高齢者や障害者への向き合い方や、障害者差別解消法など、ユニバーサルマナーの基礎知識を学びます。受講方法によって異なりますがグループワークや意見交換をする場もあり、インプットだけでなくアウトプットもできる検定です。
障害のある当事者が講師を務めており、よりリアルな声が受講者に直接届くため、1歩踏み出すあと押しをしてくれる講座だといえるでしょう。
ユニバーサルマナー検定2級
ユニバーサルマナー検定2級では、多様な人々に対して適切なサポートができる人を目指しています。講義だけでなく実技研修や検定試験があり、取得後は3年に1度の更新が必要です。(1級取得者は2級更新は免除)
特徴として、専用の機材を使用して、さまざまな当事者体験を行う点が挙げられます。これにより、今まで気づかなかった視点や感覚を身につけ、どのようなサポートが必要か、または不要なサポートがあるかなど、実践的な内容を学べます。
実技研修で、実際に現場で役立つコミュニケーションの取り方やサポート方法を具体的に学ぶことで、日常生活や仕事の場面で即実践できるスキルを身につけられる点も大きなメリットです。
ユニバーサルマナー検定1級
1級は、当事者の現実を体験し、自分の価値観や世界観を広げることを目的としています。カリキュラム講座や体験受講は、いくつかの選択肢から選べる形式で、学んだ内容についてのレポート提出が必要です。2級と同様に、3年に一度の更新制度があります。
学べる講座には、認知症対応マナー研修、LGBTマナー研修、ユニバーサルワーク研修、ユニバーサルコミュニケーション研修があり、これらの中から3つを選択します。
認定後には、認定証だけでなくカードやピンバッジが付与され、普段から身に付けることで1級取得者としての意識を持ちながら行動できるでしょう。
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