仲居とは?仕事内容や向いている人、年収を紹介
旅館を訪れると、和服を着た「仲居さん」が出迎えてくれるところが多くあります。
素敵な笑顔で滞在中のあらゆるお世話をしてくれる仲居さんは、日頃の疲れを癒やし、旅行をますます楽しくしてくれるので憧れだという方も少なくないしょう。
仲居とはどのような仕事なのでしょうか。仕事内容や向いている人、年収についても解説します。
「将来は仲居として働きたい!」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
仲居とは?
「仲居」は、一般的には旅館の客室係として身の回りの世話をするスタッフのことですが、ホテルや料亭などでも「仲居さん」と呼ばれるスタッフが存在することがあります。
和服を着た女性が多いイメージがありますが、男性の仲居がいる旅館もあります。布団の上げ下ろしや団体客の宴会の配膳などの力仕事は男性が担当することも多いです。
お客様と接する機会が多く、仲居の評価がそのまま旅館の評価につながることもあります。そのため、「おもてなし」の心で質の高い接客サービスが求められる職業です。
就職先は主に旅館が多く、和室のあるホテルや、和食を出す料亭やレストランなどもあります。高級旅館ほど高いスキルが求められますが、その分、賃金も高くなります。
近年、訪日外国人の増加の影響からイベントや国際会議などの新しいフィールドでの仕事も増えてきました。
仲居の仕事内容
仲居の仕事は、お客様が旅館についてから出発されるまでのお世話になるため、内容は多岐にわたります。
仕事内容を大きく分けると、次の5つです。
- お客様のお出迎え
- 宿泊施設のご案内
- 料理の配膳や説明
- お見送り
- 清掃
順に解説します。
お客様のお出迎え
お客様と直接対面しておこなう最初の仕事は、到着されたお客様を笑顔でお出迎えすることです。
初めて旅館にいらっしゃるお客様は、どのような旅館でどのようなスタッフがいるのかワクワクしていることでしょう。
最初に出会う仲居の笑顔が旅館の印象を決めることになるため、明るく爽やかにお迎えします。
宿泊施設のご案内
お客様のチェックインが済んだら、お客様の荷物を預かり、施設内を紹介しながら客室までご案内します。
客室に着いたら室内の設備を説明し、お茶やお菓子を用意します。食事の時間やアレルギーの有無などもここで確認することが多いです。
料理の配膳や説明
夕食と、翌日の朝食の配膳をします。旅館の場合、お客様の食事は客室で提供されることが多いです。
仲居は担当する客室に料理を運び、料理の説明もおこないます。アルコールやジュースなど飲み物の注文を受けることもあるでしょう。
お客様の食べるスピードに合わせて、先付け、前菜、吸い物、お刺身などを最適なタイミングで提供できるととても喜ばれます。食べ終わったタイミングでお皿を下げるのも仕事です。
団体のお客様の場合、多くのお客様に次々と料理や飲み物を運ぶので体力も必要です。
お見送り
出発されるお客様をお見送りするまでが仕事です。到着されたときと同じ笑顔でお見送りしましょう。
最後の瞬間まで気持ちよくお見送りすると、「見えなくなるまで手を振ってくれた」「最後まで素敵な立ち居振る舞いだった」など、お客様に「また来たい」と思っていただけます。
清掃
お客様がチェックアウトされたら、次のお客様をお迎えするための清掃をおこないます。客室や廊下、ロビーをはじめ、お客様に見られる場所は全てキレイにしなければなりません。
従業員で清掃をおこなうこともありますが、外部の業者に委託している旅館もあります。
仲居の仕事の1日の流れ
仲居の仕事は、お客様が到着する前から始まっています。仲居の1日の仕事の流れを解説します。
朝6:00 | 出勤 |
7:00〜8:00 | 朝食の提供、片づけ |
10:00〜11:00 | お見送り、館内の掃除 |
11:00〜16:00 | 休憩(中抜け) |
16:00 | ミーティング開始 |
16:30 | お客様のお出迎え |
18:00〜19:00 | 夕食の提供、片づけ |
19:00 | 布団の準備 |
20:00 | 退勤 |
着物で出勤する旅館と、朝は着替えやすく動きやすい洋服で出勤する旅館もあります。
仲居の仕事は朝早く夜遅いため、朝の仕事のあと、お客様が到着する午後まで「中抜け」といわれる数時間の休憩があることが多いです。
夜は、お客様が大浴場を利用されている間に、布団の準備をしておきます。
1人で数組のお客様を担当するのが通常なので、食事や寝具の準備の時間はお客様の希望で異なります。変則的な勤務になりやすいのが特徴です。
仲居のやりがいと魅力
「仲居になりたい」と考える方は、おそらく旅行中に素敵な仲居さんに出会ったことがあると思います。
そのような仲居の仕事のやりがいや魅力は、次の3つです。
- お客様一人ひとりに丁寧に関われる
- 仕事内容が多岐にわたる
- お客様から直接感謝していただける
1つずつ解説します。
お客様一人ひとりに丁寧に関われる
仲居は、一人ひとりのお客様の一番近いところでおもてなしをします。仲居の印象が旅館の印象を決め、旅行全体の思い出になることもあります。
旅館に到着されるまでの観光地やそこで食べたものについてなど、お客様との会話を楽しめるのは仲居の大きな魅力の1つでしょう。
旅館には幅広い年齢層のお客様が訪れるので、それに合わせた接客を考えるのもやりがいです。
仕事内容が多岐にわたる
仲居の仕事は、担当のお客様が旅館で過ごされる時間全般のお手伝いです。
そのため、仕事内容が多岐にわたり大変であると同時にやりがいにもつながります。
また上記で紹介した仕事以外にも、お客様のためにタクシーを手配したり、売店のレジを担当したりすることもあります。
お客様から直接感謝していただける
お客様一人ひとりに対し丁寧におもてなしができれば、必ず喜んでいただけるでしょう。
直接「ありがとう」と感謝して頂けたり、心付け(チップ)をもらえることもあります。
「以前よくしてもらった仲居さんにまたお願いしたい」とリピーターのお客様に指名されることもあり、大きな喜びになります。
仲居に求められる能力やスキル
仲居は、おもてなしのプロであり旅館の「顔」です。そのような仲居が多くのお客様に喜ばれるために必要な能力やスキルは、次のとおりです。
- おもてなしの精神
- 礼儀礼節
- 語学力
順に解説します。
おもてなしの精神
仲居には、なにより「おもてなしの精神」が必要です。
おもてなしとは「目配り、気配り、心配り」という日本人ならではの心です。裏表のない心で来客をもてなすのが「おもてなし」の精神になります。
年齢性別、立場や目的が違っても、どのようなお客様にもリラックスして非日常を楽しんでいただくため、コミュニケーション能力も必要です。
礼儀礼節
仲居の接客の基本は「笑顔」ですが、加えて着物での立ち居振る舞いや食事の提供の仕方、お辞儀の角度、ふすまの開け閉めにもルールやマナーがあります。
仲居が正しい礼儀礼節を身につけているかは、お客様にチェックされることも多い部分です。
礼儀礼節がきちんとできている仲居は、それだけで「所作が美しい仲居さん」とお客様からの評価も上がります。
語学力
旅館には海外からのお客様もいらっしゃいます。仲居として対応できる語学力を身につけておくと、スムーズに対応できるうえ、お客様の満足度も上がるでしょう。
外国人観光客の数は年々増え続けています。これからの時代、語学力に長けている仲居は必ず重宝され、活躍の場も広がるはずです
仲居に向いている人の特徴
仲居の仕事は多岐にわたり、さまざまなお客様への対応が必要です。どのようなお客様にも満足していただける、仲居に向いている人とはどのような人でしょうか。
次の3つです。
- 日本文化が好きな人
- 身体を動かすのが好きな人
- お客様を喜ばせるのが好きな人
1つひとつ解説します。
日本文化が好きな人
日本文化に興味関心がある人は、仲居の仕事にやりがいを感じられます。
仲居の仕事の基本である「おもてなし」は、日本古来から受け継いできた精神です。
旅館を利用するお客様は、日本の伝統的なおもてなしの心を求めています。日本文化が好きな人ならば、日本人ならではのおもてなしの精神も身につきやすいでしょう。
身体を動かすのが好きな人
仲居の仕事は、体力が必須です。
朝早くから夜遅くまで複数の部屋を1人で担当し、お客様の荷物を運び、配膳や布団の上げ下ろしなどの力仕事もあるためです。
ほとんどが立ち仕事で1日中動き回るので、体力勝負といえるでしょう。身体を動かすのが好きな人には向いているといえます。
お客様を喜ばせるのが好きな人
なにより「お客様に喜んでいただきたい」という人は、仲居に向いています。
おもてなしの心や、お客様の期待以上のサービスを提供することで感動や喜びが生まれる「ホスピタリティ」は、お客様の喜びが自分の喜びと考える精神に基づくものです。
幅広い年齢層に加え国籍もさまざまなお客様に対し、どうしたらお客様に喜んでいただけるか考え、実行するのが好きな人にとっては、仲居は天職となるでしょう。
仲居に必要な資格は?
仲居になるために、特に必要な資格はありませんが、以下のような資格があります。
- マナー・プロトコール検定2級・3級
- アソシエイト・ホスピタリティ・コーディネータ
- サービス接遇検定
- ユニバーサルマナー検定
- IELTS
順に解説します。
マナー・プロトコール検定2級・3級
「マナー・プロトコール検定」は、NPO法人 日本マナー・プロトコール協会が認定する資格です。仲居として活躍するなら、2級と3級の取得をおすすめします。
プロトコールとは「国際儀礼」と訳される言葉で、主に国の間の公式儀礼を指します。マナー・プロトコール検定は、日本人としてのマナーやプロトコールの知識や技能を問われるものです。
3級では基本的なマナーや社会常識が問われ、2級では社会人として必須のマナーについて出題されます。
アソシエイト・ホスピタリティ・コーディネータ
「アソシエイト・ホスピタリティ・コーディネータ」は、NPO法人 日本ホスピタリティ推進協会が認定する資格です。
ホスピタリティについて学んでいる学生や、ホスピタリティ関連事業で活躍しようと考えている人ならば対象になります。
理論と実践の両面からホスピタリティを理解するための講習に参加し、一定基準に達したと評価されると「アソシエイト・ホスピタリティ・コーディネータ(AHC)」として認定されます。
「心からおもてなしができる人」として客観的に評価される資格です。
サービス接遇検定
「サービス接遇検定」とは、公益財団法人 実務技能検定協会が認定する資格です。
サービス業務に対する心構えや態度・振舞いなどが審査される検定試験で、おもてなしの心の育成を目指しています。「サービス接遇」とは、相手に満足を提供する行動のことです。
3級では、初歩的な理解と基本的なサービスをおこなうのに必要な知識が問われ、2級ではサービス接遇実務について理解があるか、その知識と技能が問われます。
ユニバーサルマナー検定
「ユニバーサルマナー検定」は、一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会が認定する資格です。
「ユニバーサルマナー」とは、『自分とは違う誰かの視点に立ち行動する』という心づかいのことです。
困っている人がいたら行動し、助け合える社会を目指して運営されています。
ユニバーサルマナー検定3級では、ユニバーサルマナーの入門として、高齢者や障害者への基本的な向き合い方や声がけの方法を学びます。
IELTS
「IELTS(アイエルツ)」は、ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP Educationによって協同で運営されている英語検定です。
英語の熟練度を測る英語検定のひとつで、海外留学や研修の英語力証明や、日本国内の入試にも採用が広がっています。
ライティング、リーディング、リスニング、スピーキングの順でおこなわれる全てのテストを受験する必要があり、スピーキングテストがおこなわれるのは他3つの試験の6日以内です。
結果は、1.0から9.0のバンドスコアで示されます。IELTS1.5は英検5級程度、4.0で準2級程度、TOEICなら450〜490点程度のレベルとされています。
仲居の給料や年収は?
仲居の給与額は、勤務先によって大きく異なるのが現状です。
求人ボックスやIndeedを参考にすると、仲居の年収は240〜600万円程度と推測できます。
従業員数が多く、規模が大きな旅館ほど年収は高くなり、有名観光地の大きな旅館ともなると平均年収を大幅に上回ることもあります。
仲居として勤務経験を重ね、女将、仲居頭と呼ばれるリーダー職へキャリアアップすることも可能です。
努力次第では高収入が期待できるかもしれません。
仲居に関するよくある質問
「大きな旅館の仲居として働きたい」「笑顔が素敵な仲居さんになりたい」と考える方からの、よくある質問を3つ挙げました。
- 仲居の大変なことは?
- 仲居は男性でもなれる?
- 仲居は土日も休める?
順にお答えします。
仲居の大変なことは?
忙しくても常に笑顔で気持ちのいい対応が求められることや、変則的な勤務時間が仲居の大変な点です。
仕事は力仕事が多く、立ち仕事も多いので、体力勝負といえます。1日働き続けるとヘトヘトになるかもしれません。特に繁忙期は目の回る忙しさです。
しかし、お客様の前では、常に笑顔で明るく接しなければなりません。時には直接お叱りを受けることもありますが、真摯に丁寧に対応する必要があります。
また対応次第ではお客様がリピーターになることもあり、対応力が求められます。
また、勤務時間が変則的になりがちです。いろいろなお客様がいらっしゃるので毎日同じ生活リズムにはなりにくく、慣れるまでは大変かもしれません。
仲居は男性でもなれる?
女性のイメージが強いですが、温泉旅館では男性の仲居もいます。
仕事内容は男女ともほとんど同じです。ただし、布団の上げ下ろしや大量の配膳などの力仕事や、深夜の受付対応などは安全面を考慮して男性が担当することもあります。
仲居は土日も休める?
毎週土日に休むことは難しいです。
旅館やホテルは、どうしても土日祝日や、GW、お盆、年末年始などは「書き入れどき」であるため、人気の旅館は数ヵ月前から予約で埋まることもあります。
そのため、たいていの休みは平日です。
ただし多くの旅館はシフト制なので、交替で土日に休むことはできます。
まとめ:お客様に快適に過ごしていただきましょう
仲居には高いレベルの「おもてなし」や「ホスピタリティ」が求められますが、お客様の喜びを直接感じられる仕事です。
「お客様の喜びを間近で感じられる仲居になりたい」という方なら、東京ホテル・観光&ホスピタリティ専門学校の「ホテルワールド」でおもてなしの心を学びましょう。
1年目からラグジュアリーホテルや高級レストランの高度な接客技術を身につけることができ、オーストラリアへの語学留学で英会話力も養えます。
少人数制でレベル別の英会話レッスンと、毎日英語に触れる学園生活で英語力を養い、同時に日本の伝統文化である茶道を通しておもてなしの心を学びます。
「ワーク&スタディ」制度で、働いて収入を得ながら学べる制度があり、求人誌に掲載がない有名ホテルで働くことも可能です。
産学連携で、在学中からさまざまな有名ホテルで長期インターンシップを経験できるため、卒業後は最高のホスピタリティとおもてなしの心を持った即戦力として活躍できます。
「さらに多くのことを学びたい」という人は、「Wメジャーカリキュラム」で他の専攻の授業を追加料金なしで受講できます。
校舎は高級ホテルのような落ち着いた空間です。
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就職は、インターンシップの案内や面接・履歴書の対策、人事担当者をお迎えした合同企業説明会の開催など、サポートが充実しています。卒業後も「生涯就職サポート」があり、一生涯にわたり再就職や転職をサポートするので安心です。
お客様から「ありがとう」という嬉しい言葉を直接聞けるのが仲居の仕事です。仲居を目指す方はぜひお問い合わせください。