【最新版】ホテルのビジネスモデルとは?将来性と注目の戦略を解説
ホテルは単なる宿泊施設ではありません。
多彩なサービスを組み合わせて、心地よい空間を提供する使命があります。
そこで、
「ホテルはどうやって利益を得ているのだろう……」
「どんなビジネスモデルがあるのか知りたい!」
とは思いませんか?
本記事では、ホテルのビジネスモデルの基礎知識をはじめ、注目のビジネス戦略まで幅広く紹介します。
ホテル業界の仕組みを理解できるので、将来ホテルで働きたい方は必見です。
少し難しい内容にはなりますが「将来ホテル業界で働きたい!」または「経営やビジネスに興味がある!」と思っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ホテルビジネスモデルの基礎知識①:ホテルの業態
ホテルの種類はたくさんありますが、主に以下3つの業態にわけられます。
- シティホテル
- ビジネスホテル
- リゾートホテル
それぞれ簡単に解説します。
シティホテル
シティホテルとは、都心部の大型ホテルです。
ビジネス客や旅行客などのあらゆる客層をターゲットにしています。
使える施設がたくさんあるので、結婚式やディナーショー、講演会から株主総会までイベント利用もしやすいです。
【シティホテルの施設の例】
- レストラン・バー
- 宴会場
- プール・スパ
- フィットネスジム
- ショップ
日本を代表する「帝国ホテル」、「ホテルニューオータニ」、「ホテルオークラ東京」などがシティホテルに分類されます。
また、シティホテルの中でも特にランクが高いホテルをラグジュアリーホテルと呼ぶこともあります。
ちなみに価格帯による分類は、以下の5段階です。
- ラグジュアリー・ホテル
- アップスケール・ホテル
- ミッドプライス・ホテル
- エコノミー・ホテル
- バジェット・ホテル
ビジネスホテル
ビジネスホテルとは、ビジネス客向けのホテルです。
シティホテルと同じく都心部に立地していますが、施設は宿泊に特化しています。
大規模な施設よりも機能性が重視されています。
街中でよく見かける格安で宿泊できるホテルをイメージしてください。
なお、海外で「ビジネスホテル」と言うとエグゼクティブ客向けの高級シティホテルを指すことが多いです。日本と海外では表現が違います。
リゾートホテル
リゾートホテルとは、温泉やビーチなどのレジャー客向けのホテルです。
ホテルそのものがリゾートと言える大規模なものから、隠れ家をイメージする小規模なものまであります。
日本の文化を味わえる和室や魅力的な大浴場など、ゆったり過ごせる施設が特徴です。
リゾートホテルでは浴衣とスリッパで館内を回ったり、卓球したりと、シティホテルとは違った娯楽を楽しめます。
ホテルビジネスモデルの基礎知識②:4つの運営方式
ホテルはサービス業のイメージが強いですが、不動産業と深い関わりがあります。
ホテルビジネスは以下3つのポジションから成り立つからです。
- 所有…土地や建物を所有する
- 経営…土地や建物を借りて事業全体の損益を管理する
- 運営…経営会社と契約して実際にホテルを運営する
所有・経営・運営の関係によって、ホテルは主に4つの運営方式にわかれます。
- 所有直営方式
- リース方式
- マネジメント・コントラクト方式
- フランチャイズ方式
それぞれわかりやすく解説します。
所有直営方式
所有直営方式とは、土地や建物を所有からホテルの経営や運営まで一社で行う方式です。
所有直営方式がホテル運営の基本形となります。
ホテルが生み出した利益は全て自社で得られるため、業績アップに従って経営が安定します。
さらに、社会的信用が高く融資が受けやすいうえに経営判断も自由自在なので、事業拡大にも挑戦しやすいです。
ただし、莫大な資金力が必要なため、所有直営方式を採用できる会社は多くありません。
リース方式
リース方式は、土地や建物を別の所有者から借りて、経営と運営を自社で行う方式です。
参入のハードルが低くチェーン展開がしやすいですが、土地や建物の所有者に賃料を支払い続けなければなりません。
利益と賃料のバランスを考えるとメリットが限られるため、もともと土地や建物を所有する大企業の子会社が運営するケースが多いです。
マネジメント・コントラクト方式(管理運営委託契約方式)
マネジメント・コントラクト方式(MC方式)は、主に以下2パターンがあります。
- ホテルの所有・経営・運営をそれぞれの会社で担当する
- ホテル所有と経営を行う会社が運営のみ他社に依頼する
一般的に運営会社がホテル運営全般を担当し、成果に応じて報酬を受け取れる仕組みです。
MC方式の誕生により、運営会社には不動産投資のリスクを負わずにチェーン展開できるようになりました。
一方で、ホテル所有者は経営や運営のスキルがなくても資産運用できるので。Win-Winの関係が築けます。
また、フランチャイズ方式やリファーラル方式、アフィリエイト方式といった運営方式もMC方式に含まれることがあります。
【その他運営方式の特徴】
方式 | 特徴 |
---|---|
フランチャイズ方式 | ホテル経営者が有名ホテルチェーンから運営ノウハウやブランド名の使用権をもらう代わりに、契約料を支払う方式。 |
リファーラル方式 | 同レベルの独立したホテルが協力して、お互いに紹介や宣伝する方式。グループ名やシステムを共有することもある。 |
アフィリエイト方式 | 一都市一ホテルを原則に最高級ホテル同士が共同で優先予約制度の導入やパンフレット制作をする。独自のブランドを維持しながら、顧客を囲い込める。 |
ホテルビジネスモデルの基礎知識③:ホテル経営には複数の部門がある
ホテルは、以下5つの部門で協力して収益を上げています。ホテルの規模によっては存在しない部門もあります。
【ホテルの部門】
- 宿泊部門
- 婚礼宴会部門
- 料飲部門
- 営業企画部門
- 管理部門
それぞれ解説します。
宿泊部門
宿泊部門は、ホテルのメイン商品である客室を提供します。宿泊部門の収益アップで最も大切なのは、客室の価格と稼働率のバランスです。
価格を上げれば稼働率が下がり、価格を下げれば稼働率が上がる傾向があるので、過去の需要を分析して価格設定をします。
特に旅行者が多い休日は、客室の価格を上げるホテルがほとんどです。他にも人件費や消耗品の調整により、60〜70%ほどの利益率を目指します。
料飲部門
ホテル内のレストランやカフェ、バーなどが料飲部門に含まれます。宿泊しなくても利用できるので、お客様の幅が広く安定して売上を作れるのがメリットです。
しかし、熟練のシェフの人件費は高く、メニューの売れ行きによってはフードロスが発生するため、利益率は20%ほどになります。
婚礼宴会部門
婚礼宴会部門では、宴会や結婚式、ディナーショーなどさまざまなイベントを担当します。
宴会や結婚式は1回で数百万円規模の売上になる非常に重要な収益源です。そして、予約が事前に確定しフードロスが減ったり、スタッフを派遣でまかなえたりと、50%ほどの利益率を狙えます。
営業企画部門
客室や宴会場、イベントチケットなどホテルの売り物を外で宣伝するのが企画営業部門です。
相手は個人から法人までさまざまです。旅行会社を通した団体客の獲得や価格交渉が仕事となります。
また、マスコミに新企画や経営状況などの情報を流したり、ホームページを更新したりと、ホテルのイメージアップにも貢献します。
管理部門
管理部門は、人材や設備など資源の管理が仕事です。
ホテルと連携してお客様や会社を陰からしっかり支えています。
【管理部門の仕事の一例】
- 人事…スタッフの採用や教育など、人を管理する。
- 購買…食品や消耗品などの発注など、買い物を管理する。
- 経理…収入や請求書の作成など、お金を管理する。
特にホテル業務はホスピタリティが大切なので、人事の仕事は現場にも大きな影響を与えます。
ホテルビジネスの現状と今後の展望
2010年代のホテル業界は、海外からの観光客増加によりかなり好調でした。
2011〜2016年まではホテル業界7,915社の収入高の合計は、右肩上がりです。
画像引用:帝国データバンク
2017年から勢いは衰えたものの、2020年は東京オリンピックがあるため、ホテルの需要は必ず増えると思われていました。しかし、新型コロナウイルスの流行で期待は裏切られます。
2021年にはホテルの半数以上が売上80%ダウンとなり、業種別の倒産数は飲食店に次ぐ第2位という結果になりました。
画像引用:帝国データバンク
とはいえ、ホテル業界はネガティブな要素だけではありません。国内旅行や近距離旅行の需要が高まり、稼働率が上がっているホテルもあるからです。
さらに、新型コロナウイルスが収束すれば、ホテルの需要の回復は十分に期待できます。ホテルの需要の回復を予見してか、コロナ禍で新規開業するホテルもあります。
アフターコロナのホテル業界で注目のビジネス戦略4選
新型コロナウイルスの流行で人々の生活が変わると同時に、ホテル業界にも価値観の変化がありました。
アフターコロナのホテル業界で注目されているホテルのビジネス戦略を4つ紹介します。
- ①在宅ワークやワーケーションなど日中の利用者を増やす
- ②プランの多様化による新たな客室利用の提案
- ③MICE(マイス)の会場で収益アップを狙う
- ④IT技術を活かした遠隔接客と省人化
ぜひ参考にしてください。
①在宅ワークやワーケーションなど日中の利用者を増やす
ホテルの日中利用者の増加は、アフターコロナのホテルの新たな収益源になります。
コロナウイルス感染防止のため、フリーランスだけでなく会社員も在宅ワークが許されるようになりました。
そこで、仕事(Work)と休暇(Vacation)をあわせたワーケーションが広まっています。
リフレッシュできる空間で仕事ができることから人気を集めています。コロナ以前は日中のホテルの利用者は限られていました。
しかし、宿泊ではなく日中にホテルを利用する文化が、アフターコロナの世界でも続けば、今後のホテル業界はコロナ以前よりも大きな売上が期待できます。
②プランの多様化による新たな客室利用の提案
2021年に入ってから「ホテルに泊まるのではなく、ホテルに住む」という価値観が提案されました。
1泊や2泊ではなく、15泊や30泊の長期滞在プランです。
ホテル住まいには、以下のようなメリットがあり、富裕層を中心に「第二の仕事場」として人気を集めています。
【長期滞在プランのメリット】
- 契約や初期費用が一切不要
- 家事から開放され仕事や遊びに集中できる
- ジムや会議室などホテルの施設を自由に使える
家のリフォームや出張など一時的にホテルに住む人に対して、幅広いプランが用意されました。
③MICE(マイス)の会場で収益アップを狙う
MICE(マイス)とは、以下の単語の頭文字を取ったビジネスイベントのことを指します。
- Meeting
- Incentive Travel
- Convention
- Exhibition/Event
ホテルをMICEの会場として活用することで、イベントの参加者の予約が団体で入ります。
また、訪日外国人の一人あたりの平均消費額が15.6万円なのに対して、国際MICEの参加者の一人あたりの平均消費額が33.7万円というデータもあります。
ホテルにイベントスペースがあることが必要ですが、MICEの会場として使えるようにすると大きな収益アップが狙えます。
④IT技術を活かした遠隔接客と省人化
新型コロナウイルス対策をきっかけに、ホテル業界では今まで以上に省人化と遠隔接客が注目されました。
ホテル滞在のニーズとして、快適さだけでなく安心感が求められるようになったからです。
具体的には案内ロボットやスマートロック、受付用のシステムの導入により、非接触を目指します。
遠隔接客と省人化は、人件費削減やヒューマンエラーの防止にもつながります。
ホテル業界を目指すなら専門学校がおすすめ
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まとめ
お伝えしてきた通り、ホテルのビジネスモデルは奥が深いです。
ホテルは単なる宿泊施設だけではなく、おもてなしやサービスによって、お客様に快適な時間を届けています。
ホテル業界で働くためには「英語力」と「ホスピタリティ」が求められますが、独学ではなかなか習得しづらいです。
東京ホテル・ウェディング&IR専門学校は、産学連携をしているので、現役で活躍するホテルスタッフから世界レベルの「英語力」と「ホスピタリティ」を学ぶことができます。
さらに、4年生のホテルマネジメント・グローバルコースであれば、大学卒業の「学士」と同等の「高度専門士」を取得できます。
ホテル業界で働きたいと考えている方は、体験入学や個別相談会を活用してください。
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ホテルで働くと毎日お客様に笑顔を届ける機会を頂けます。ホテル業界を目指している方は、この機会に一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。