ホテル業界の今後は?課題とアフターコロナに求められる変化を解説!
「ホテルに就職したいけど、ホテル業界の今後は大丈夫?」
「アフターコロナによってホテル業界はどうなるの?」
そのようなお悩みや疑問をお持ちの方もいるでしょう。
ホテル業界は、新型コロナウイルス(以下コロナウィルス)の影響を受けて大きな変化が起きています。
本記事では、ホテル業界の今後や課題、アフターコロナに求められる変化などについて紹介します。
一読すれば、ホテル業界の理解が深まり、今後の参考にもなるでしょう。
最後まで読んでみてください。
目次
ホテル業界の現状
2020年以降、コロナウイルスの影響により旅行者が激減しました。
これまでインバウンド需要で右肩上がりだったホテル業界も、業績不振により休業や倒産に追い込まれるなどの大打撃を受けました。
国内利用者の多いビジネスホテルにおいても、ビジネスパーソンの出張や社員旅行などの団体客が減少し、利用者数が低迷。
現在にいたってもこの影響が尾を引いており、2019年度の水準までは回復していないのが現状です。
また、コロナウイルスの影響で、旅行客層やニーズも変化しており、ホテル業界も変化が求められるようになりました。
参考:国土交通省 観光庁「訪日外国人旅行者数・出国日本人数」
参考:国土交通省 観光庁 令和3年版観光白書について(概要版)
参考:株式会社東京商工リサーチ 「宿泊業の倒産動向」調査 2020年(1-12月)
参考:内閣府経済社会総合研究所「新型コロナウイルス感染症が 宿泊業に与えた影響に関する研究」 図2-1
ホテル業界の今後
大打撃を受けたことにより、ホテル業界には大きな変化が起こりました。今後のホテル業界の傾向としては、下記2点が挙げられます。
- コロナの収束による需要の回復
- テレワークによる需要の増加
順に見ていきましょう。
コロナの収束による需要の回復
コロナウイルスの蔓延から3年が経過し、感染者の減少にともなって少しずつ業績が戻り始めています。
帝国データバンクの調査によると、旅館・ホテルの45%が2022年度は前年に比べて増収になる見通しで、2022年度市場は3兆円台の回復予報が出ています。
外国人の宿泊者数も前年同月と比較して179%増と、インバウンドも増えてきており、業績回復への期待が高まっています。
さらに全国規模の「旅行支援」がスタートし、コロナウイルスの水際対策が大きく緩和されたこともあって、増収見込み企業は増加しています。
テレワークによる需要の増加
テレワークとはICT(情報通信技術)を活用した柔軟な働き方のことです。コロナ禍でこうした働き方が広がり、ホテルで仕事をする人が増えてきました。
自宅で働こうとしてもWi-Fi環境がなかったり、静かな環境でオンライン会議に参加したかったり、子どもがいて仕事に集中できなかったりなどの問題が発生した人もいました。
このような背景から、ホテルなどではテレワーク向けプランなども始まり、今までなかった日帰りプランなどもスタートしています。
Wi-Fi環境が整備され、静かな個室でオンライン会議に参加ができ、仕事に集中できる点がメリットです。
ホテル業界としても客室の利用率を上げることができます。
コロナウイルスが収束しても、テレワークを中心とした働き方に移行した企業もあるため、引き続きテレワークを目的としたホテル利用の需要はあるでしょう。
■参考
帝国データバンク「旅館・ホテル業界」 動向調査(2022 年度業績見通し)
アフターコロナに求められる変化
こうした背景を踏まえると、今後、宿泊客も増加していくでしょう。しかし、コロナウイルス蔓延前とは状況が変わっています。
どのような変化が必要とされるのでしょうか?たとえば、下記の変化が求められています。
- 感染対策の徹底
- ITシステムのよる効率化
- ワーケーションなど新しい体験による差別化
- SDGsへの配慮
それぞれ、解説していきます。
感染対策の徹底
コロナウイルスをきっかけに、感染対策が必要不可欠になりました。
今後、マスクの着用は個人の判断にゆだねられる方針となる予定ですが、感染防止対策を基準に宿を選ぶ宿泊客もいるでしょう。引き続き、感染対策の徹底が求められます。
コロナ禍において新たなシステムを導入したホテルもあり、キャッシュレスのみの支払いや、非対面接客をおこなうホテルも増えてきました。
アフターコロナも感染対策は引き続きおこなう必要はあるでしょう。
ITシステムによる効率化
ホテル業界でもITシステムの導入が進み、効率化が進んでいます。
感染対策や人手不足の影響があり、ITシステムを導入するホテルが増加しました。
たとえば、観光地や空港では顔認証技術が活用され、非接触での旅行が現実のものとなってきています。
オンラインでホテルを予約し、無人チェックインシステムでチェックイン、チェックアウトをし、人に会わずに宿で過ごすことも可能です。
業務効率化の取り組みとしては、お客様からのお問い合わせにAIが回答するチャットボットや、予約状況や料金などを一括管理するシステムなどもあります。
ITシステム導入により、今まで対応していた業務に時間を割かずに、お客様への対応や集客などの他の業務に注力できるようになるでしょう。
ワーケーションなど新しい体験による差別化
ワーケーションとは「Work」×「Vacation」の単語を組み合わせた造語です。
テレワークの普及の影響を受け、リゾート地など普段の職場と違う場所で働きながら休暇を取ることができる、ワーケーションの実施が増えてきました。
自分の好きな場所へ行けるので、仕事を休むことなく休暇を取れる点がメリットです。
たとえば、本社が東京にあり毎日出勤していた方が、北海道や沖縄で2週間ほど、ホテルや旅館などの宿泊施設で快適に滞在しながら仕事ができる。こうしたことができる時代になったのです。
働く人にとってワーケーションは魅力的であり、需要も高まっています。
SDGsへの配慮
2015年に国連コミットで、持続可能な開発目標(SDGs)が設定されました。
旅行者の間でもSDGsに配慮する意識が高まってきており、旅館やホテルの対応も必要不可欠です。
こうした動きを受け、ホテル業界でも「SDGsへの貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針」が、日本政府観光局(JNTO)によって策定されました。
たとえば、プラスチック使用量の削減や、紙の宣伝印刷物の削減などが挙げられます。最近ではデジタル化が進み、紙のパンフレットなどを見かける機会が減ってきたと感じている人もいるかもしれません。
今まで当たり前だった使い捨てのアメニティも見直されており、ホテル業界もSDGsへの配慮をし、地球に優しい宿泊環境を作る必要があるでしょう。
■参考
国土交通省 観光庁「感染拡大防止と観光需要回復のための 政策プラン(参考資料)」
日本政府観光(JNTO)「SDGs への貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針」
ホテル業界に対する行政の支援
変化が求められているホテル業界のため、行政が支援している制度もあります。
たとえば、下記が挙げられます。
- 観光拠点の再生
- 地域の観光資源の磨き上げ
- インバウンドの段階的な復活
順番に紹介していきます。
観光拠点の再生
観光施設の再生や地域全体の魅力と収益力を高めるために、新たな補助制度が創設され、施設改修補助(負担割合:1/2)や融資制度が大幅に拡充されました。
また、景観改善のために長期間使われなくなった建物の撤去や、観光地としての景観の改善や小規模宿泊事業者の協業などの新たなビジネスの創出も支援しています。
行政はこうした短期集中で強力な支援策や制度により、観光施設全体が再生できるように後押しをしています。
地域の観光資源の磨き上げ
観光業界では、これまで地域の関連事業者との連携が進んでいませんでした。そこで、観光地域づくり法人(DMO)を各地域で形成し、観光地の整備を強化しています。
たとえば、農業と連携して収穫体験を通して田舎のスローライフを経験してもらったり、製造業と連携して一般公開されていない工場見学が実施されるようになりました。
観光事業者とさまざまな産業が連携できるように、ここでも行政が支援しています。
インバウンドの段階的な復活
インバウンドの段階的な回復に向けた取り組みも進められています。
感染防止対策をしながら小規模分散型パッケージツアーを実施し、旅行需要の変化に合わせた日本のプロモーションを進行中です。
たとえば、日本政府観光局(JNTO)では、デジタルマーケティングの活用をした情報発信が挙げられます。
インバウンドの復活に向けて、日本の安全に対する取り組みや地域の魅力発信を通して、日本へ旅行をしたい意欲がある人を増やしていき、2030年には6,000万人の誘致を目指しています。
■参考
国土交通省 観光庁「感染拡大防止と観光需要回復のための 政策プラン(参考資料)」
ホテル業界の今後の課題
需要が徐々に戻ってきているホテル業界ですが、新たな課題が3つ挙げられます。
- 人手不足
- 建物の老朽化
- グローバル化
それぞれ、解説していきます。
人手不足
水際対策が大幅に緩和されたことで、インバウンド(訪日旅行客)が増加傾向です。
2022年9月の帝国データバンク調査では、60%以上の旅館・ホテルが正社員・非正社員ともに人材が不足している結果になりました。
コロナウイルスの影響でスタッフの離職も多く、今後戻ってくる需要に対応しきれず、人材不足になることが懸念されます。
各ホテルの人材獲得競争も激しく、受け入れ態勢の整備が急務になっています。
建物の老朽化
建物の老朽化が進み、施設の廃業などで景観への影響がでています。
1980年代から90年代にかけては団体旅行需要が多かったため、大型宿泊施設が作られてきました。
施設ができてから30〜40年が経過し、現在では建物の老朽化が大きな問題となっています。
また、団体旅行需要が減少し、少人数や個人旅行者のニーズに合わせた転換も必要になっているため、設備更新も必要です。
しかしながら、こうした状況の改善のためには高額な費用をともなう傾向があり、設備更新ができない施設も多くあります。
設備の老朽化により集客力が低下し、廃業施設となって観光地全体に影響を及ぼすケースも見られています。
グローバル化
日本のホテル業界ではグローバル化が遅れているのが現状です。今後、グローバル化を推進していく必要性が高まってきています。
グローバル化ができていないと、訪日外国人のニーズに対応ができません。
たとえば、多言語対応ができない、多言語記載のメニューがない、文化の理解不足などが挙げられます。
最近では、ICTなどを活用した多言語対応や先進的決済システムの導入、公衆トイレの洋式便座の整備をするなどして、観光地の価値向上も進んできています。
また、日本の労働人口が減っているため、外国籍人材の受け入れも必要です。各国の生活慣習に合わせた就業環境の提供や人材育成が重要になってくるでしょう。
ホテル業界は、グローバル化を進めていく必要性が高い業界といえます。
■参考
国土交通省 観光庁「感染拡大防止と観光需要回復のための 政策プラン(参考資料)」
日本労働研究雑誌 「宿泊業界における成長戦略としての人材育成─ホテル業の現状と課題|日本労働研究雑誌 2019年」
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