レセプショニストとは?仕事内容から必要な資格や年収までを解説
「レセプショニストってどんな仕事?」
「レセプショニストになるにはどうすればいい?」
と、思っている人もいるでしょう。
この記事では、主にホテルのレセプショニストにはどのような役割があるのか、仕事内容や仕事の流れ、レセプショニストになるために必要な資格や年収などについて解説していきます。
レセプショニストの仕事に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
レセプショニストとは?
レセプショニストとは「受付」や「接客」の意味をもつ「reception」が語源となった言葉で、「受付を担当する人」のことをいいます。
勤務先には、ホテル・レストラン・空港・販売店(百貨店、ラグジュアリーブランドなど)・結婚式場・旅行会社・劇場・美術館・美容室・病院などがあり、活躍の場はさまざまです。
このように受付が必要な施設や店舗で、レセプショニストは最初にお客様の対応をする重要なポジションを担っています。
レセプショニストの仕事内容
ホテルで働くレセプショニストは、一般的に「フロントクラーク」と呼ばれます。
仕事内容は、フロントでの受付業務をはじめ、お客様の案内や部屋への誘導、顧客データの管理、電話やメールでの問い合わせ対応、フロントやロビーの清掃など多岐にわたります。
また、ホテル内のレストランでレセプショニストとして働く場合もあります。
この場合も、お客様の案内やホール担当者への引き継ぎ、予約データの管理や問い合わせ対応などをおこないます。
どちらのレセプショニストも、ホテルやレストランの第一印象を左右する大切な仕事です。
レセプショニストの1日の仕事の流れ
ホテルで働くレセプショニストの主な1日の仕事の流れを見ていきましょう。
ホテルでは、お客様に24時間365日対応する必要があるため、交代勤務になる場合が多いです。
勤務時間は1シフト7〜8時間で、日勤・夜勤の2交代制や、早番・遅番・夜番の3交代制などがあります。
勤務先によって体制は異なりますが、ここでは日勤の主な流れを紹介します。
8:00~ |
・出勤・業務開始 ・引き継ぎ ・チェックアウト業務 |
---|---|
10:00~ |
・精算業務 ・フロントやロビーの清掃 |
12:00~ |
・午前の勤務終了 ・休憩 |
13:00~ |
・午後の勤務開始 ・チェックインの準備 ・当日の予約状況の確認 ・予約データの管理 |
15:00~ | ・チェックイン業務 |
17:00~ |
・引き継ぎ ・業務終了 |
このほか、適宜ホテルに滞在中のお客様への対応や、電話・メールでの問い合わせに対応します。
レセプショニストのやりがいと魅力
ここからは、レセプショニストのやりがいや魅力について紹介していきます。
- 多くの人と関われる
- 人に見られる仕事のため自分を磨ける
- お客様から直接感謝の言葉をいただける
仕事にやりがいや魅力を感じると、仕事に対するモチベーションが上がり、お客様にさらに質の良いサービスを提供できます。
多くの人と関われる
レセプショニストの仕事は、多くの人と関われるところが魅力です。
ホテルには、毎日多くの人が訪れます。
性別や人種、年齢もさまざまな人たちと日々関わることで、多種多様な考え方や行動を学べ、自分の知識や経験となって蓄積されます。
色々な人と関わることでコミュニケーションスキルが磨かれ、そのスキルを接客に活かせるので、自分の成長を感じられるところも魅力のひとつです。
人に見られる仕事のため自分を磨ける
「人に見られている」という意識は自分磨きにつながり、結果として自分自身を高められます。
ホテルの顔であるレセプショニストは、外見はもちろん、言葉遣いや立ち振る舞いなども常にお客様に見られています。
お客様がホテルを訪ね、対応したレセプショニストから受けた印象が、そのままそのホテルの印象になると言っても過言ではありません。
「見られている」という意識以上に「ホテルの顔である」という自覚が、自分を磨くモチベーションになります。
お客様から直接感謝の言葉をいただける
レセプショニストとして、なによりもやりがいを感じることは、お客様から直接感謝の言葉をいただけることです。
レセプショニストは、お客様がチェックアウトする際にも対応します。
そのため、ホテル滞在中の感想をお客様から直接言ってもらえることも少なくありません。
「ここに泊まってよかった」「ありがとう、また来ます」などの言葉を直接かけられたときは、レセプショニストにとって最高の瞬間です。
このようにお客様の満足度を肌で感じられるところも、レセプショニストの魅力のひとつです。
レセプショニストに求められる能力やスキル
ホテルの第一印象を決めるレセプショニストには、接客に関する高い能力やスキルが求められます。
- コミュニケーション能力
- マナーに関する知識
- 語学力
- 臨機応変な対応力
ひとつずつ見ていきましょう。
コミュニケーション能力
レセプショニストにとって、コミュニケーション能力はなくてはならないものです。
コミュニケーションとは、お客様からの相談や質問にスムーズに対応することだけではありません。
お客様が「話しかけやすい」と感じられる雰囲気を持つことも、重要なコミュニケーション能力です。
また周囲に気を配り、困っていそうなお客様がいれば「何かお困りですか?」と、すぐに声をかけることも大切なコミュニケーションです。
お客様から見たコミュニケーション能力の高いレセプショニストとは、「頼れる人」や「安心感を与えてくれる人」です。
コミュニケーション能力の高い、頼れるレセプショニストがいるホテルには、お客様はリピーターとしてまた訪れてくれます。
マナーに関する知識
レセプショニストには、マナーに関する知識も不可欠です。
レセプショニストにとってのマナーとは、お客様との関わりにおいて、その場の環境やお客様にとってふさわしい振る舞いをすることです。
正しい言葉遣いや姿勢もマナーに含まれます。
ホテルは国内だけでなく、海外のお客様も訪れるため、国や宗教などによっても対応の仕方は変わってきます。
そのため、基礎的なマナーの知識はもちろんのこと、各国のマナー、文化についても学んでおく必要があります。
相手に失礼のないよう、気持ちよく過ごしてもらうための気遣いが、正しいマナーにつながります。
語学力
ホテルで働くレセプショニストには、語学力も求められます。
ホテルには外国人も訪れるため、ホテルで働くレセプショニストにとって、英語ができることは必須条件です。
英会話はもちろん、メールでの問い合わせにも対応できるよう、ライティング力も必要です。
英語の他にも別言語の対応が出来るとより評価されるでしょう。
近年は中国人観光客も多いため、中国語で対応できるスキルがあると重宝される傾向にあります。
あらゆるお客様に快適に過ごしてもらうために、語学力はレセプショニストにとって必要不可欠なスキルです。
また、外資系ホテルで働くスタッフは人種も国籍も様々です。
上司や同僚が日本人でない場合も大いにあります。社内でのコミュニケーションやメールも英語で行うことがあります。
ビジネス英語のスキルも同時に求められます。
臨機応変な対応力
レセプショニストには、臨機応変な対応力も必須のスキルです。
ホテルでは宿泊受付だけでなく、トラブル、お客様の要望への対応、急な来客やキャンセルなどにも適切に対応しなければなりません。
たとえば予約がいっぱいで空室のない日に、飛び込みで泊まりたいとお客様が来た場合「予約で埋まってしまっています」とお断りするだけでも特に問題はありません。
しかし困っているお客様のために「代わりのホテルをご用意しましょうか」と、お客様のために別のホテルを手配するといった対応ができると、そのお客様にとってこのホテルは特別なホテルになるでしょう。
ただ与えられた仕事をこなすのではなく、その時々に応じて最適な答えを導き出す、臨機応変な対応力がレセプショニストには必要です。
レセプショニストに向いている人の特徴
以下のような人はレセプショニストに向いています。
- 人と関わるのが好きな人
- おもてなしが好きな人
- 視野の広い人
自分と照らし合わせながら読んでみてください。
人と関わるのが好きな人
人と関わることが好きな人、人と話すことが好きな人は、レセプショニストに向いています。
人と関わることが好きな人は、普段から積極的に人と話しているため、レセプショニストにとって重要とされるコミュニケーション能力が高い人が多いです。
また普段から人とよく関わっている人は、さまざまなタイプの人と接することで人を見る目も養われています。
どのようなお客様が来ても相手に合った接し方ができるので、レセプショニストとしてベストな対応ができるでしょう。
おもてなしが好きな人
おもてなしが好きな人も、レセプショニストに向いています。
おもてなしが好きな人は、相手に喜んでもらいたい、満足してもらいたい、という想いが強くあります。
レセプショニストはホテルに来たお客様と直接関わることが多いため、お客様の喜ぶ顔や満足した様子を間近で見られます。
お客様の反応を実感できるレセプショニストは、おもてなし好きな人にぴったりな仕事です。
視野の広い人
広い視野で周りを見られる人は、レセプショニストに向いています。
視野の広い人は、物事を俯瞰(ふかん)して客観的に見ることができます。
そのため、トラブルやアクシデントがあっても冷静に対処でき、ひとつの意見や情報に固執しないので、お客様への対応も臨機応変におこなえます。
臨機応変な対応力は、レセプショニストに求められる能力のひとつでもあるため、視野の広い人はレセプショニストに向いているといえるでしょう。
レセプショニストに必要な資格は?
レセプショニストに必須の資格はありません。
しかし接客やマナーに関する資格があると、能力やスキルが向上するため、活躍の場が増える可能性があります。
いくつか紹介していきますので、ぜひチェックして挑戦してみてください。
- IELTS
- ホテルビジネス実務検定
- マナー・プロトコール検定2級・3級
自分の現在のレベルを知るために、受検してみるのもおすすめです。
IELTS
「IELTS」は、英語の4技能「書く、読む、聞く、話す」のスキルをはかる技能試験です。
試験にはIELTSアカデミックとIELTSジェネラル・トレーニングの2タイプがあり、英語圏の国々への留学や就労、移住を希望する人々の英語力を測定します。
IELTSは30年にわたっておこなわれており、世界中で受験者が毎年350万人を超える、世界で最も権威があり認知度の高い英語試験です。
試験の概要は、以下の表を参考にしてください。
IELTSアカデミック | IELTSジェネラル・トレーニング | |
---|---|---|
受験資格 | 誰でも受験可能(満16歳以上であることが望ましい) | |
受験方法 | コンピューター形式・ペーパー形式 | |
受験料 |
コンピューター形式・ペーパー形式:27,500円(税込) JSAFが実施するペーパー形式:25,380円(税込) |
|
試験の形式 (所要時間) |
リスニング(40分) リーディング(60分) ライティング(60分) スピーキング(11~14分) |
|
合格基準 | テスト結果は1.0から9.0のバンドスコアで示されるため、合格、不合格はありません | |
主な対象 | 大学や大学院への進学、専門職への登録を目指す方 | 中等教育への進学や、英語圏への就職・移住を希望する方 |
試験内容 | 大学の講義や学術論文など、学術的な会話や場面を想定した出題が中心 | 日常生活や、職場でのやり取りに関する出題が中心 |
参考:日本英語検定協会
ホテルビジネス実務検定
「ホテルビジネス実務検定」は、通称「H検」と呼ばれる、ホテル実務知識の体系的理解度をはかる試験です。
ホテル業務において不可欠な実務知識の体系的な習得や、ホテルサービスの勉強をする学生の自己学習目標の設定、ホテルの仕事に携わる社会人の能力を把握する目的でおこなわれています。
試験の概要は以下のとおりです。
ベーシックレベル2級 | ベーシックレベル1級 | マネジメントレベル | |
---|---|---|---|
受験資格 | 誰でも受検可能 | ||
受検方法 | 会場受検(年2回) | 会場受検(年1回) | |
受検料 | 5,100円(税込) | 5,100円(税込) | 8,200円(税込) |
検定の形式 |
多肢選択方式(4択問題)、解答はマークシート方式 200問出題(200点満点) 各級90分間 |
||
認定基準 | 2級・1級ともに各科目の正解率が60%以上、かつ全体の正解率が65%以上 |
正解率によって2級または1級として判定 2級:各科目の正解率が60%以上、かつ全体の正解率が65%以上 1級:各科目の正解率が80%以上、かつ全体の正解率が85%以上 |
|
主な対象 | ホテル業界志望の学生や、ホテルや関連企業の一般職のかたなど | ホテルや関連企業の管理職など | |
検定内容 | ホテル業務の基礎知識や営業業務、ベーシックレベル1級とマネジメントレベルは、それに加えて管理業務も出題される |
参考:日本ホテル教育センター
マナー・プロトコール検定3級
「マナー・プロトコール検定」は、日本人や社会人として必須のマナーや、プロトコール(国際儀礼)に関わる知識と技能を認定する検定です。
プロトコールとは国家間の儀礼上のルールのことを指し、文化や宗教の違いを超えてスムーズに交流するための国際的なマナーやエチケットのことをいいます。
マナー・プロトコール検定は3級または2級からのスタートとなり、準1級以上はその下の級を取得済みの人のみが受検可能です。
以下に、はじめに受検可能な3級と2級についてまとめました。
3級 | 2級 | |
---|---|---|
受検資格 | だれでも受検可能 | |
受検方法 | 会場受検(3級と2級の併願可能) | |
受検料 | 4,800円 | 6,000円 |
検定の形式 | 筆記試験(正誤問題) | 筆記試験(選択・記述問題) |
合格基準 | 110点以上(150点満点) | 66点以上(100点満点) |
レベルの目安 | 基本的なマナーや社会常識 | 社会人として知っておくべきマナー及びビジネスの場での作法や知識 |
レセプショニストの給料や年収は?
レセプショニストの給料や年収は、勤務先や雇用形態によって異なるので一概には言えません。
年収は240~420万円程度と幅広くなっています。
給料は17~30万円ほどで、アルバイトの場合の時給は、1,000円から1,800円前後が相場となっています。
勤務先や雇用形態、求められる仕事の質によって給料は変わってきますが、より高い給料を望む場合は、安定した正社員で雇用されるほうがよいでしょう。
また、レセプショニストのスキルの目安となるマナー検定などを取得していると、給料アップにつながる可能性もあります。
レセプショニストに関するよくある質問
ここからは、レセプショニストに関するよくある質問を紹介していきます。
- レセプショニストは土日に休めるの?
- レセプショニストの大変なことは?
- レセプショニストの服装は?
- レセプショニストは男性でもなれる?
順番に見ていきましょう。
レセプショニストは土日に休めるの?
一般企業や病院などのレセプショニストであれば、土日休みであることがほとんどなので、カレンダー通りの規則的な勤務になります。
しかしホテルなどのサービス業は、土日も営業しているため、土日に勤務が入る場合もあります。
また、シフト制を導入している場合が多いため、勤務時間や休みは不規則になりがちです。
レセプショニストの大変なことは?
やりがいや魅力の多いレセプショニストですが、大変な部分もあります。
それは、クレーム対応です。
クレーム対応は、レセプショニストの重要な業務のひとつです。
一般的なクレームから理不尽なクレームまでさまざまですが、お客様からの指摘は、ホテルなどをより良くするためのアドバイスになる場合もあります。
さまざまなクレームに適切に対応することも、コミュニケーション能力が求められるレセプショニストの腕の見せどころです。
レセプショニストの服装は?
レセプショニストには多くの場合、ユニフォームがあります。
ユニフォームがない場合でも、レセプショニストはお客様をお迎えする立場のため、オフィスカジュアルやセミフォーマルなど、勤務場所の規定に準じた服装をする必要があります。
ユニフォームでも私服でも「清潔感のある服装」であることが、どの職場のレセプショニストにも共通して求められる服装です。
レセプショニストは男性でもなれる?
レセプショニストや受付業務は女性が多い印象がありますが、男性がレセプショニストになれないわけではありません。
24時間稼働しているホテルなどでは、防犯上、男性のレセプショニストがいるほうが心強い場合もあります。
レセプショニストになれるのは、性別の違いではなく「お客様に快適な環境やサービスを提供できる人」といえるでしょう。
レセプショニストになって素敵な空間を提供しましょう
サービス業で大切なことは、快適で素敵な空間やサービスを提供し、お客様に満足していただくことです。
ホテルで働くレセプショニストは、そのホテルの顔であり、レセプショニストの印象がホテルのイメージに直結する、非常に責任のある仕事です。
東京ホテル・観光&ホスピタリティ専門学校の「リゾート・ホテルホスピタリティコース」では、3年間の学びや実習を通して一流ホテルマンとしてのスキルを磨きます。
また4年間で接客のエキスパートを目指す「スーパーコンシェルジュコース」もおススメです。
高度な接客スキルをはじめ、英語力も身につけることで、国内だけでなくワールドクラスのホテルで活躍できるスペシャリストを養成します。
インターンシップを通じ、在学中から現場で学ぶことで、卒業時には即戦力として活躍できるスキルが身につきます。
接客のプロを目指す人にとって、理想的な環境が整っている学校です。
「接客スキルを磨きたい」「一流のレセプショニストになりたい」という人は、体験入学や個別相談会への参加をおすすめします。
一流の接客スキルを身につけて、レセプショニストとして活躍したいと考えている人は、ぜひ体験入学や個別相談会に参加して未来の自分をイメージしてください。
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